ZEH予算、総枠前年並み水準に 住宅産業界に厳しい現実

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順風に進んだようにみえる住宅用太陽光の普及だが、かつてエネ庁は「産業として自立できた」との理由で、05年度で予算要求をせず一度打ち切ったことがある。ところがその結果、06年度と07年度に設置件数が大幅なマイナスに。批判の高まりを受け、08年度補正予算で補助金制度を復活せざるを得なかった。

パリ協定を持ち出すまでもなく、今や環境への取り組みは日本だけの問題ではなく、国際的にも不可欠な施策だ。普及促進へ予算額の増額は不可欠で、せっかく成長の兆が芽吹いているZEHに冷や水を浴びせることがあってはならない。

15年11月の第3回の「未来投資に向けた官民対話」で、ZEHの必要性を訴える和田会長に、安倍首相が「2020年までにハウスメーカーなどの新築戸建ての過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化するとともに、省エネ・リフォームを倍増させる」と回答。翌16年6月には「日本再興戦略2016」を閣議決定した。だが、このままではその達成もおぼつかない。

実現のためにはZEHへの税制優遇とともに、補助金は必須。一般社団法人プレハブ建築協会の樋口武男会長(大和ハウス工業会長兼CEO)は「ZEHのようにエネルギー消費が少ない家は、国の省エネ対策にも協力しているわけです。国のZEH認定の基準をクリアした住宅には、税制をはじめとして何らかの制度上の恩恵があっても良いはずです」というのは正論だろう。

ZEHビルダー制度にしても、もっと使いやすい制度への変更すべきという声は、7日付け本紙でも指摘した通り強まっている。特に、現行の単年度予算では、年度後半には(執行時期と工期の関係で)事実上申込みができないのは普及の阻害要因といえる。

申込みの8割が採択されなかったといわれる16年度の第5次、第6次公募。「お客さまに謝りに行く現場スタッフは非常に大変で、営業マンでトラウマになっている人も」との声も。例えば予算の複数年度化への移行も含め、通年で申込みができるような仕組みの検討が必要ではないだろうか。

2017年12月28日付1面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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