注目の助成金(212)コロナ禍以降に公募急増!売上減少が申請要件となる補助金

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コロナ禍以降、売上減少を申請要件とした補助金が増えてきています。近年も物価高騰やトランプ関税の影響により売上減少した事業者を支援する補助金が多数公募されています。今回はその中でも代表的な補助金である、東京都中小企業振興公社が実施する「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)」について解説します。

◇ ◇

本事業はポストコロナ時代における中小企業の経営基盤強化を目的とした助成制度です。既存事業の「深化」や「発展」に取り組む中小企業者に対し、必要な経費の一部を助成することで、競争力の向上や新たな事業展開を支援します。

近年、中小企業は新型コロナウイルスの影響やエネルギー・原材料価格の高騰、人件費の上昇など、さまざまな事業環境の変化に直面しています。これらの課題に対応するため、本事業では、事業者が創意工夫のもと、既存事業の深化や発展に取り組むことを支援し、経営基盤の強化を図ることを目的としています。

対象事業者は都内に本店登記している中小企業、または納税地が都内にある個人事業主ですが、以下3点の申請要件のいずれかを満たす必要があります。「(1)直近決算期の売上高が2023年の決算期以降のいずれかの決算期と比較して減少していること」、「(2)直近決算期において損失を計上していること」、「(3)米国関税措置による影響により、次期決算期の売上高が、直近決算期の売上高と比較して減少することを見込んでいること」です。このような売上減少要件を設けている理由は、「すでに困っている事業者」だけでなく、「今後困る可能性が高い事業者」も含め、支援の必要性が高い層を優先的に支援するためです。売上減少要件がなければ、相対的に余力のある企業が補助金を得てしまい、本当に必要な企業に資金が回らなくなるリスクがあります。

◇要件は既存事業の「深化」と「発展」

本事業では、以下2点の取り組みが助成対象となります。

第一に、既存事業の「深化」です。高性能な機器や設備の導入による競争力の強化、既存の商品やサービスの品質向上、高効率機器や省エネ機器の導入による生産性の向上が対象となります。

第二に、既存事業の「発展」です。新たな商品やサービスの開発、商品やサービスの新たな提供方法の導入、既存事業で得た知見等に基づく新たな取り組みが対象となります。

なお、申請者が営んできた事業内容との関連性が薄い、または全く無い取り組み、法令改正への対応など義務的な取り組み、単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取り組みは対象外となります。

助成対象経費は、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費、設備等導入費、システム等導入費、専門家指導費、不動産賃借料、販売促進費と非常に幅広いです。ただし、委託・外注費のうち「市場調査費」「専門家指導費」「販売促進費」「その他経費」の単独の申請はできません。

助成限度額は800万円、助成率は助成対象経費の3分の2以内です。なお、助成率について、賃金引上げ計画を策定し実施した場合、4分の3以内(小規模事業者は5分の4以内)にアップします。

申請は「Jグランツ」による電子申請で受け付けます。申請受付期間は2025年5月~26年3月までと一見長期間ですが、5月・7月・9月・11月・1月・3月の隔月で数日間申請を受け付ける形式を取っています。

◇ ◇

本事業は、東京都内で事業を行う中小企業(個人事業主を含む)にとって、事業環境の変化に対応し、経営基盤を強化するための有効な支援策となります。申請を検討される方は、公式ウェブサイトを確認の上、早めの準備をおすすめします。

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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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