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注目の助成金(219)補助金申請時の勘所、第三者でも理解できる計画に

事業計画は、申請者自身や社内の関係者が読むだけでなく、外部の審査員が評価するための文書です。そのため、「自分たちには当たり前のこと」であっても、必ずしも第三者には理解されるとは限りません。申請者が日常的に使用している専門用語や略語、業界の常識は、審査員にとっては未知のものかもしれません。したがって、第三者が読んでも理解できる事業計画にすることが、採択を勝ち取るうえで非常に重要となります。

今回も補助金申請の勘所として、事業計画作成時に注意すべき6つのポイントについて紹介します。

第一に、専門用語や社内独自の略称は極力使わないことが挙げられます。どうしても必要な場合は、初めて登場する箇所で説明を加えることが望ましいです。たとえば、「DX」などビジネス分野でよく使われる言葉であっても、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」のように、略称の後に正式名称を記載するだけでも理解度は大きく向上します。

第二に、事業計画書は学術論文ではありません。難解な表現や長すぎる文章は避け、できる限りシンプルで明快な言葉を用いることが重要です。

たとえば、「業務遂行体系に内在する諸機構の構造的洗練化を媒介として、運用資源の消耗を最小化しつつ処理動態の整合的高度化を具現化する」よりも「業務プロセスの最適化を通じた効率性向上を実現する」と記載した方が直感的に伝わります。審査員は多くの申請書を限られた時間で読み込むため、瞬時に内容を理解できるようにしておくことが採択に有利に働きます。

第三に、長文の説明だけでは、第三者にとって理解が難しいことがあります。その際に有効なのが、図表や箇条書きを用いた可視化です。売上目標やコスト削減効果など数値データは、文章で並べるよりも表にまとめた方が読みやすくなります。事業の流れを説明する場合も、文章だけではなくフローチャートやスケジュール表を用いることで、審査員が短時間で事業の全体像を把握できます。
第四に、第三者に理解してもらうためには、単に「何をするか」だけでなく、「なぜそれをするのか」、「どのように実施するのか」を補足することが不可欠です。申請者にとっては当然の理由であっても、外部の立場から見れば根拠が不足しているように映ることがあります。たとえば、「新しい機械を導入する」とだけ書くのではなく、「既存機械は老朽化により不良率が高まっており、新機械の導入によって不良率を20%削減できる」という説明を添えることで、誰が読んでも納得できる記述となります。
第五に、事業計画書を作成する際は、「読み手は自社を知らない第三者である」という前提を常に意識することが大切です。そのため、会社概要や業務内容といった基本的な情報を省略せず、簡潔にまとめて冒頭に記載します。また、文章の構成は「現状の課題→解決策(事業内容)→成果→社会的効果」という流れを意識すると、審査員がスムーズに理解できる構成となります。

第六に、第三者に理解してもらうためには、主観的な表現よりも客観的なデータや数値を示すことが効果的です。「需要が高い」と書くよりも「市場調査の結果、今後5年間で市場規模が年平均5%拡大すると予測されている」と具体的に示す方が、説得力があります。外部データや実績を根拠として提示することで、審査員は申請内容を安心して評価することができます。

申請者にとっては馴染み深い事業であっても、審査員にとっては初めて目にする内容です。そのため、専門的な知識や社内の特殊事情をそのまま記載するのではなく、誰が読んでも直感的に理解できるように工夫することが求められます。

平易な表現、図表や箇条書きの活用、根拠あるデータの提示、そして「なぜ」「どのように」を補足する姿勢が、補助金・助成金採択の可能性を大きく高めることにつながります。

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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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