【多世帯住宅2023】共働きの増加で親との同居に高い関心=少子高齢化での負担軽減も

昨今、3世代での同居を中心とした多世帯住宅への関心が高まっている。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると「65歳以上の者がいる世帯」に占める3世代世帯の比率は7・1%。多世帯の典型ともみられるこの世帯は実数にして200万世帯ある。現状、多世帯が急激に増えるとの予想はないが、少子高齢化や子供の教育費負担増、女性の社会進出に伴う共働きの増加、親世代の介護など山積する課題が、多世帯によって解決できそうな感もある。

住宅会社も多世帯住宅、近居の住まいを相次いで提案。さらには住宅の長寿命化が多世帯化を後押しする。かつては敬遠された同居、近居という生活スタイルは、社会環境が整いつつあり、ますます関心が高まりそうだ。

2世帯住宅の形態は3パターン

多世帯住宅でもっともポピュラーなのが2世帯住宅。そしてその形態は大きく3パターンに集約される。

「独立2世帯型」「共用2世帯型」そして「融合2世帯」だ。

独立2世帯型は一つの住宅に文字通り二つの世帯が独立して入居しているタイプ。生活空間は完全に分けられて、玄関も二つ。プライバシーが完全に確保できるというのが最大のメリットだ。また親世代、子世代が次の世代に引き継がれるとそのまま活用できるなど、世帯の入れ替えが容易になる。

ただし、親世帯と子世帯のコミュニケーションが希薄になる。同じ建物にいながら、何日も顔を合わせないことが頻繁に起こり、さながら集合住宅に隣り合わせで住んでいるようになる。

共用2世帯型と融合2世帯型は住宅会社が提案するモデルプランでも多く見かけるタイプだ。共用2世帯型はダイニングキッチンやリビングを世帯ごとに設けてプライバシーを守りながら、玄関や浴室を共用する。スペースを効率的に活用できるとともに、生活のリズムが異なる2世帯が同居するのに適していると言えそうだ。

家族が集う場所としての広い大空間のダイニングを(住友林業)

融合2世帯はリビングダイニングキッチンを共有しつつ、サブリビングを設けて、目的ごとに世帯別の空間を設ける。共用スペースが多くなり、家事を協力しやすい環境を作り出す。2世帯がコミュニケーションを取りやすくなり、同居世帯で同じ事業を営んでいる方などから支持を集める住まいだ。

このほか「完全同居型」は近年、少なくなった。新築でも提案されることはほとんどないという昭和のファミリードラマや「サザエさん」のタイプ。多世帯の暮らしを経験したことがない方が思い浮かべやすい。ドラマに出てくる完全同居型は多世帯の住まい方としては一つの理想像ではあるが、プライベート空間がほとんどなく、気兼ねすることも多いことから、現代社会からは敬遠されがちだ。

多世帯住宅は幅広い世代が同居することから、おのずと設備も世代を問わない使い勝手が要求される。キーワードになるのは「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」だ。

多世帯の住まいにはユニバーサルデザイン
も(ミサワホーム)

2世帯住宅は「設備選び」も重要

多世帯住宅を新築する際にはまず、間取りを検討する。しかし、同じくらい重要なのが住宅設備。

バリアフリーやユニバーサルデザインの思想はすでに通常の新築住宅には採用されているが、幅広い世代と住宅設備を共有することから新築の際には改めて検討したい。

たとえばサッシ。テラスと屋内の境目となるサッシはフルフラットが望ましい。気づきにくいちょっとした段差が、転倒につながる。また階段は踊り場を広く確保したり勾配を緩やかにしたりしたい。

多世帯住宅は2階建て以上になる。高齢者にとっては階段の上り下りが負担になることから、けがなどリスクは軽減したい。体力を低下した人ばかりでなく、けが人にも優しくなるはずだ。

またトイレ、浴室などへの手すりも検討したいアイテムだ。

健康面やデザイン性から全館空調の検討も

健康面を考えると全館空調も導入したい。高齢になるほど部屋ごとの温度差は身体への負担が大きくなる。全館空調でヒートショックを抑え、同時に換気システムで空気環境を整えることも重要だ。

全館空調は住まいのデザインにも大きく貢献する。2世帯住宅で部屋ごとにエアコンを設置しては建物の脇に室外機が並ぶことになる。全館空調にすると室外機は一つ。各部屋に室内機を設置しないことからインテリアはすっきりするメリットがある。

また健康面を考えたときには車いすの使用も念頭に置くべき。入居時に健常者ばかりだと、車いすに頼らざるをえない生活は描きにくい。しかし、大きな病気はせずとも、筋力だけが衰えていく高齢者も増える。玄関のアプローチや邸内の移動を容易にするために廊下を幅広に設計することも勧めたい。

開放感のあるテ
ラスで交流を(下三井ホーム)

多世帯住宅は幅広い世帯、様々な価値観をもった人が同居することで、コミュニケーションを生み、日常生活に様々な楽しみややりがいを与えてくれる。一方でストレスや軋轢をもたらしやすいのも多世帯。新たな住まいは、メリット、デメリットを見定めたうえで、慎重に検討を進めたい。

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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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