旭化成ホームズが、同社二世帯住宅研究所の研究成果を踏まえて、二世帯住宅の新たな視点を提案するのが『ヘーベルハウス「都市の実家」』で、親世帯からの視点で開発したものだ。家族や地域・社会との良好な関係を築く力を〝実家力〟とし、そのキーワードに基づき商品特徴をまとめた。これらの条件を満たしながらも、コンパクトで融通性の高い空間を提案している。
同社が販売する二世帯住宅の半数を占める、1940年から49年生まれを「イマドキ」の親世代と想定。実家力を備えた住宅の設計要件として(1)家族が集まる、泊まる場所があり、客を招きやすい(2)父母それぞれの個人空間が充実し、収納が十分にある(3)各世帯が独立し、それぞれの生活リズムで暮らせる(4)将来の介護サービス利用に配慮されている――の4点とした。
これに基づき開発されたのが「都市の実家」。敷地を165平方メートル(50坪)~198平方メートル(60坪)程度に設定。二世帯としては比較的コンパクトながら、同居していない子供ら家族が気軽に宿泊でき、外部の来客や介護への配慮などにも融通性の高い間取り構成としている。
このうち、近・遠居の子世帯が家族で泊まれたり、親世帯を訪ねてくる友人・知人を迎える場であるとともに、食事以外で大勢の家族がくつろぐ空間として、LDKと連続した畳敷きの和洋室を、タタミリビングとして提案する。
タタミリビングでは、将来にわたって親世帯が住み続けることも想定。収納に将来のトイレ・流し用の準備配管を設置し、在宅介護用の部屋とすることが可能。介護を受ける際に、自宅で家族の気配を感じたいという想いに応えた。24時間の訪問介護サービスを利用する際にも、ヘルパーの動線と家人の動線が分離される間取りとなっているのも特徴だ。
また、家族全員が集まれる大きなダイニング・キッチン空間をくつろぎの空間に設定した。その分、リビング空間の機能を限定し、小さなスペースとして「イマドキLDK」の提案も行った。
遠居の子どもが出張などのついでに夜中に1人で泊まったり、親世帯も独立した子どもの荷物を保管していることに着目。親世帯・子世帯の中間に位置する部分に、コンパクトな「どっちもルーム」を設置することを提案している。同居しない子供のベッドと荷物を保管し、急な単身での宿泊にも対応できる。