
住宅産業新聞は、2017年の住宅市場や住宅政策の展望を、住宅産業界の政策通に語っていただく、恒例の「匿名座談会」を開催した。今回の主なテーマは(1)政府の2017年度の予算・税制改正案について(2)16年度及び17年度の住宅市況の見通し(3)現状の住宅市場の需要構造の変化・動向を踏まえて、業界として今後求められる住宅政策について――の3点。出席者は、住宅政策の立案や実現に向けて住宅産業界の立場で活動している渉外担当者8人と、住宅・不動産ジャーナリスト1人の計9氏となっている。
司会 政府の2017年度の予算・税制改正案がまとまったことに対するご意見を、まずうかがいたいと思います
A 事前の国交省とのやりとりを密にする中で状況の把握ができていたことではありますが、延長や拡大を要望していた事項については、概ね希望通り通ったと考えています。特に、国としては新築住宅だけではなくストック市場の活性化をメーンに考えていることが感じられ、住宅リフォームへの補助額の増加などの各種政策を打ち出しています。それは、われわれ住宅業界としても大切な部分でもあり、ありがたいことだとは思っています。住宅は、新築とストックの二本柱でいくものだと思って対策を立てることが重要になると思っています。
今回、住宅生産団体連合会(住団連)としての国交省への要望の中で、最重要と考えていました贈与税の非課税枠の2千万円(現行1200万円)への拡大。残念ながら今回の税制改正大綱では認められなかったわけですが、大綱の最後の文に「経済対策等のこれまでの措置の実施状況や今後の住宅着工の動向等を踏まえた住宅市場に係る対策についての所要の措置」(を行う)との文言が入っていました。この部分に、われわれの要望を含んでいただいたのかなと思います。