“入居者目線”で“長期安定経営”を、求められる良質な住まい

しかし、現在では戸建住宅向けとほぼ同じ仕様がメーン。キッチンは、カウンタートップ一体型のシステムキッチンで、人工大理石製トップのものもある。単身者向けでは、間口スペースが小さいミニキッチンが多いが、ガスコンロやIHヒーターがビルトイン(組み込まれた)タイプの本格仕様となっている。

設備仕様は戸建住宅に匹敵

浴室もユニットバスで、シャワーが標準に付いている。壁も高級感のある仕様で追い焚き機能も付くなど、ほぼ戸建住宅に匹敵する内容となっている。

さらに、賃貸住宅において、満足度に最も影響を受けるのが遮音性。特に、上下階の音の問題は他人が住むだけに戸建住宅以上に深刻だ。事件になることも珍しくない。そのため、最近では高遮音床の搭載が相次いでいる。積水ハウスは、自社の商品『シャーメゾン』に、上階から聞こえる床衝撃音を55デジベル以下に抑える「シャイド55」仕様を標準としている。

こうした仕様や設備の採用が、建築後の時間の経過に対しても資産価値の維持につながり、家賃を下げずにすむことが、大家さんに理解されるようになったため、ともみられている。

要因の一つが空室率の上昇。比較的低いとみられる東京都では2割を切っているが、その他のエリアでは2割を超えているもよう。その一方で、貸家(賃貸)住宅着工は伸びている。国土交通省の着工統計でも、2013年度は36万9993戸(前年度比15・3%増)で、2年連続の増加となっている。

人口減少下での着工増

人口減少下での着工増が続くと、入居者の奪い合いとなり競争が激しくなることで、家賃相場が下落していくことは確実。家賃が下がっても、固定資産税や借入金の金利には影響しないため、今後の賃貸住宅経営は厳しくなることが予想されよう。

一方、創意工夫やアイデアによっては、単なる家賃競争に陥らずにすむとして、新しい形態の賃貸住宅も登場してきた。その一つが「コミュニティ型」で、最近の話題がシェアハウス。一部でいわゆる「違法貸しルーム」の存在が明らかとなるなど社会問題化したが、「都市生活の中で、他者とのつながりを求める人が増えている」(住友林業)とした。同様に、子育てやペットといった共通項で、入居者のコミュニティ形成を図るケースもある。

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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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