山形県沖を震源とする震度6強の地震や千葉県南部を震源とする震度5弱の地震、6月末から続いた九州南部を中心とする大雨など、令和の時代に入っても、日本列島は自然の猛威に晒され続けている。国内に住み続ける限り、自然災害から逃れられないと考えた方が良いだろう。
大手住宅メーカーは、被災しても被害を最小限に食い止め、命や財産を守る住宅の提案を強めている。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及は、電力自給自足を身近なものにし、住まいのレジリエンス向上に寄与した。
しかし、生命を維持するためには「飲料水」が欠かせない。最新の住宅では断水などを想定し、新鮮な飲み水を確保する商品も開発されている。
目安は4人家族で36リットル
今年4月に提案型商品「防災持続力を備える家」を発売したパナソニックホームズが行った意識調査によると、20~40代既婚男女336人のうち、8割が災害に備えて非常用の食料・飲料水・電池などの備蓄を行っているという。しかし、災害への備えを継続できると答えた人は29%に減る。
理由を聞くと「何をどれだけ備えれば良いかわからない」「時間が経つと忘れてしまう」「備えるものが多すぎて管理しきれない」など、どの答えも共感できる。それなら「住宅に防災持続力を備えよう」というのがパナソニックホームズ新商品の特徴だ。
着目したのが「飲み水」の確保。政府は、家庭が行う災害への備えとして、飲料水は1人1日3リットルを目安に3日分の備蓄を推奨し、大規模災害発生時には1週間分の備蓄が望ましいとしている。
4人家族の場合は最低でも36リットル。2リットルのペットボトル換算で18本。ミサワホームの「蔵」のような大収納空間がなければ保管するのも一苦労だ。備蓄用飲料水は、5~10年で賞味期限が切れるものが多く、交換時期も忘れがちになってしまう。
そこでパナソニックホームズは、キッチンにつながる水道管に貯水タンクを接続して、常に新鮮な飲料水を貯蓄するアクアリザーブ社製の「貯水タンク」を設置した。
通常時は水道管の一部として水の通り道となり、断水時は足こぎポンプなどで内蔵チューブ内を加圧してタンク内の水をキッチンの水栓から出す仕組み。水が空気に直接触れない構造なので、水の劣化を防ぐ。容量は同社独自仕様の約43リットルで、必要な備蓄量を確保できる。
アクアリザーブ社の貯水タンクは、トヨタホームの住宅にも採用されている。こちらは120リットルの大容量タイプ。広い床下空間が確保できる鉄骨ラーメンユニット構造の特徴を生かし、貯水タンクを床下に設置。断水時は飲み水だけでなくトイレなどの生活用水にも利用できるという。