家族構成や社会の変化に対応するあり方を考えることは、間取りを設計する立場にある住宅事業者の方々以外に、システムキッチンを供給する我々、住設事業者にも求められているのではと思う。
そうした状況で想定されるシステムキッチンの今後の変化の可能性の一つとしては、IoTやAIといった新しい要素・技術との融合があるのではないか。親子や知人との団らんに対するニーズへの対応を充実させることは、食事の作り手が男性・女性に関わりなく料理や後片付けの時間が短縮できたり、手間を簡略化したりといった、料理がより快適に作れて団らんに傾けられる時間を増やすニーズが高まる――とも言える。食事を作る場としてシステムキッチンのあり方が再び問われてくる、とでも言ったら良いのかもしれない。
システムキッチンの重要な構成要素である加熱機器や水栓、レンジフードなどを動かしているのは電気やガスだ。将来これらの分野で小さくない変化が起きる可能性があるのではと考えている。
――システムバスの今後は、どうみているか。
大道 システムキッチンと同じく社会や世帯の変化への対応が影響してくるだろう。そして、その対応の軸となるのは、本格化する高齢化社会で強まっていく健康へのニーズだと思う。健康をキーワードにご高齢の方とお風呂の関係に着目した時、クローズアップしてくるのは冬場のヒートショック対策だ。ある調査によれば今や1年の間にヒートショックで亡くなられる方は、交通事故で亡くなる方の数を大きく上回っているという。
ヒートショックは、寒い脱衣室から暖かい浴室へといった低温から高温、また、その逆に高温から低温の空間に急に移動することで起きる。