近年のシステムバス開発は湯船の温度を下がりにくくする浴槽の高断熱化に重点が置かれる傾向にあるが、これは主に省エネという環境性・経済性に対する取り組みだ。
高齢化が本格的に進展する社会では、ご高齢の方に健康にお過ごしいただける環境を作ることが大事で、健康が損なわれればご本人にとって不幸であるばかりか、社会全体としての医療費が増すことにもつながるため、省エネの観点に勝るとも劣らないレベルで経済性の問題と関連してくる。
この視点でシステムバスとヒートショックの関係を考えると、システムバスはシステムバス、脱衣所は脱衣所として別々に設計し作られている現在のあり方が、将来はヒートショックを予防し健康寿命を延ばすという新しい考え方に基づき、これら二つの空間を冬場の温度差を少なくするための「ヒートショックを予防する一つの空間」と連動してとらえ設計し作られる状況へと、変わるかもしれない。
例えばだが、暖かい浴室と寒い脱衣所の温度差の問題を解消する工夫として、浴室内の熱を有効利用して脱衣所との温度差を少なくするといった手法など、コストの課題はあるが様々なやり方があると思う。