匿名座談会、2017年市場・政策展望、新築とリフォーム二本立て、贈与税枠など今後に

A 今のZEHの話ですが、一昨年の「官民対話」で安倍総理が約束されたように、「2020年までにハウスメーカーなどの新築戸建ての過半数をZEH化」する目標達成のためには、理想的には今2017年度の予算で約540億円が必要と考えられています。ところが、経産省の予算が他の省と比べて全然少なく、補助金の枠を広げようとしても全体の予算の中で限りがある。ZEHは今年度が83億円の本予算と、補正の100億円を合わせて180億円で、しかも100億円の使い道も定まっていないのが実情です。
本当は、国交省と環境省、経産省の3省にまたがった予算となればいいのですが、ZEHは設備の部分でと捉えられているのでなかなか難しいようですね。当初から540億円程度の予算規模があって、しかも単年度ではなく年度を超えた複数年度制であればどんどんいける。申し込みの年度で切られてしまうと、非常に使い勝手が悪いところがあるものですからね。COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)から同22(同22回会議)に移行する中で明らかとなった目標は、住宅の分野で2030年までにエネルギー起源CO2で13年度比39%下げです。これはZEHを本格的にやらないと達成できない。機器の価格低下と補助金の両方が必要です。どちらが先かですけれども、補助金が先ではないと普及は進まないのが現実だと思います。
F 比較的長く陳情活動に従事していますが、私も以前と比べ変わったと思う部分があります。従来は、国交省の税制や予算要望などのペーパーに書かれていないものには、事業者団体として議員にあえて要望・陳情しない、という不文律のようなものがありました。ところが、今回の住団連の要望のトップ「住宅取得資金に関する贈与税の非課税枠の拡大」は、国交省の要望にないテーマでした。和田勇会長(積水ハウス会長兼CEO)自らが、早い時期から話をされていたことが反映されたこともありますが、かつて経験ないことでした。もう一つ、住団連の予算要望のトップを(国交省ではなく)経産省への要望としたのも、記憶違いかもしれませんが、初めてのような気がします。
先ほども出ましたが、消費税率引き上げ時期の延期にあたって、引き上げにあたっての税制上の手立てがすでに打たれているとの理解が、陳情した国会議員の大半にあったのには驚きとともに非常な困難さを感じました。陳情にあたって、われわれ事業者は戸建住宅の受注でお話をしますが、議員の皆さんは住宅着工戸数をにらんで住宅市場や住宅投資の状況をお考えになる。着工は受注の4ヵ月後や5ヵ月後に遅行する、そのあたりの情報発信を平時から国会議員や役所にやっておく必要があると思っています。そうしないと、「今、絶好調みたいね」などかみ合わない部分が出てしまいます。

2017年01月26日付7面から抜粋
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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