注目の助成金(175)中堅・中小成長投資補助金が公募開始

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経済産業省は6日、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(通称:中堅・中小成長投資補助金)」の1次公募を開始しました。人手不足の解消や生産性向上のための大規模な設備投資に対して最大50億円を支給する、非常に規模が大きい補助金となります。1次公募のスケジュールとしては、4月30日に申請締切、6月下旬頃に採択結果公表され、2026年12月末までに補助対象事業を実施する形となります。

補助額の上限は50億円、補助率は3分の1となります。なお、投資金額は10億円を超えている必要があります。たとえば、30億円の設備投資であれば10億円の補助金が出ますが、9億円の設備投資であれば対象外となります。非常に多額の投資が求められるため、資金力に余裕があるか、もしくは資金調達の目途が立っているか、申請前によく確認しておく必要があります。

本補助金の対象企業は「中小企業・中堅企業」です。なお、本補助金における「中小企業・中堅企業」の定義は「常時使用する従業員2千人以下の企業」となります。つまり、資本金が100億円を超えるような「大企業」であっても、従業員が2千人以下でさえあれば、本補助金では「中小企業・中堅企業」とみなされることになります。

また、本補助金では一定期間従業員及び役員の賃上げをすることが必須となります。期間は補助事業終了後の3年間、賃金引上げの対象者は「補助事業に係った従業員及び役員」です。つまり、全社員の賃上げを実施する必要はなく、補助事業に関連のあるプロジェクトや事業場に限っての引上げでも問題ないと言うことです。賃上げの基準について、1人当たりの給与支給総額の年平均上昇率が、最低賃金の直近5年間の年平均上昇率を上回る必要があります。

たとえば、東京都の最低賃金の年平均上昇率は2・5%のため、東京都で働く対象者の年平均上昇率は2・5%以上にしなければなりません。補助事業に係る人員が多ければ多いほど、賃金引上げする総額が増えるため、人員体制をきちんと整備しておく必要があります。

事業計画書では、事業の先進性・成長性、他社との差別化はもちろん、事業によって人手不足が解消されるか、事業実施するのに十分な経営体力があるか等も正確な数値を交えて記載する必要があります。その他にも「事業者全体の売上高における設備投資額の比率が高い水準であること」を説明しなくてはなりません。言い換えれば、自社にとってリスクを取った大規模投資をしているかが問われます。また、ページ数制限が35ページ以内であり、他の補助金と比べて非常にボリュームがあります。事業計画書を作成するだけでも膨大な時間を要するため、早めに事業案を確定させる必要があります。

審査については、書類審査の他にプレゼンテーション審査も行われます。プレゼンテーション審査は経営者の出席が必須です。また、士業や外部コンサルタントの同席は認められていません。

必須要件ではありませんが、申請の際は金融機関と連携しておくことをおすすめします。提出書類の中に「金融機関による確認書」があります。金融機関から計画が妥当であることの確認を受けた証明書となります。この確認書を提出した金融機関の担当者は例外としてプレゼンテーション審査に同席することが認められます。さらに、この同席は審査の際の加点となります。

中堅・中小成長投資補助金の申請には注意点や厳しい要件がありますが、そこさえクリアできれば、億単位の補助金を受給できる可能性は格段に高まります。大規模な設備投資を予定している方は申請にチャレンジしてみることをおすすめします。

2024年03月19日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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