
東日本大震災以降、免震の建物は増え続けており、2013年の免震物件は推定約400件で11年比約2倍(ブリヂストン調べ)となった。免震構造の建物は、約30年の間に国内で3千棟ほどが建てられているという。
住宅・建設業界では広がりを見せ始めた免震構法だが、一般の生活者への浸透は、あまり進んでいない。
ブリヂストンが、新築マンションを2年以内に購入済みまたは、3年以内に購入予定の世帯年収300万円以上の男女1025人を対象に2013年10月に実施した免震の意識調査結果によると、地震対策として、「地震対策がとられた住戸・マンションを選ぶ」と答えた人は72・6%(対前年比10・3%増)だったのに対して、「免震」の意味をよく理解しているのは34・2%(対前年比4・4ポイントアップ)で、全体の3分の1にとどまっている。
また、マンションの地震対策構造として用いられている「免震」、「制震」、「耐震」の違いを理解できていると答えた人は、53・6%(同5・4ポイントアップ)で約半数。地震対策や免震に対する注目は高まっているものの、理解は完全には浸透していない。
免震の揺れをシミュレーション
そこで同社は、生活者に免震の特徴を理解してもらうため、耐震、制震、免震の揺れをシミュレーションできる「免震体験車」を完成させた。全国のモデルルーム展示会や防災イベントなどに出展して実際に揺れを体験してもらい、免震の理解につなげる。
体験車は、東北地方太平洋沖地震と兵庫県南部地震を再現する。それぞれの揺れを、14階建てマンションの8階を想定して、耐震、制震、免震の違いを比較できる。
実際に体験した生活者にアンケートをとったところ、9割以上の人が免震の効果を理解したという。また、8割以上が免震の建物に住んでみたいと答えている。
さらに、同社は免震構造の普及を後押しするため、無料の免震設計支援ソフト「ラップスクエアープラスティー、Ver.2」を開発。国内で最も普及している構造計算ソフト(スーパービルド・SS3)とのデータ互換性を強化して、作業負担を大幅に低減した。
設計者などの免震建物の供給者側への支援も強化して、地震のリスクを軽減する「免震建物」の普及を目指す。