
キャリアアップ助成金は厚生労働省が公募している数十件に及ぶ助成金の中でも、最も知名度が高く、人気がある助成金といえます。
キャリアップ助成金は、アルバイトや派遣労働者などの非正規雇用の労働者が正社員などのキャリアアップができるように、さまざまな取り組みを行った企業に対して、一定の金額を支給します。
この助成金を設けた目的として、(1)非正規労働者の待遇を改善させる(2)非正規労働者の意欲を掻き立てることによって、パフォーマンスを向上させ、会社の生産性を高める――の2点があげられます。
2019年4月1日に労働基準法が改正されて以来、非正規労働者も含めた積極的な働き方改革が求められるようになった現在、キャリアアップ助成金は今後ますます多くの企業の注目が集まることと予想されます。
キャリアップ助成金は以下7つのコースに分けられます。
- (1) 非正規労働者を正社員に転換する「正社員化コース」(1人当たり原則28万5千円)
- (2) 非正規労働者の賃金規定等を改定し待遇を良くする「賃金規定等改定コース」(1企業当たり原則9万5千円)
- (3) 義務である健康診断以外の一定の健康診断を設ける「健康診断制度コース」(1企業当たり原則38万円)
- (4) 正社員と共通した業務に応じて賃金規定を新たに改定する「賃金規定等共通化コース」(1企業当たり原則57万円)
- (5) 正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設ける「諸手当制度共通化コース」(1企業当たり原則38万円)
- (6) 社会保険を適用拡大し、新たに被保険者とした非正規労働者の基本給を増額する「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」(1人当たり原則2万9千円)
- (7) 短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長する「短時間労働者労働時間延長コース」(1人当たり原則22万5千円)
最も人気が高いコースは?
この中でも最も人気が高いのが(1)です。「アルバイトを正社員にすることで受給できる」というわかりやすさと、他のコースよりも企業の負担が少なく実施の難易度が比較的低めであることが人気の理由です。
キャリアアップ助成金を申請するには、まず労働組合などの意見を聞いて作成した「キャリアアップ計画」を労働局・ハローワークに提出しなければいけません。その後、申請するコースに沿って就業規則などの改定を行い、取り組みを6ヵ月間行います。そして、取組後6ヵ月の賃金の支払いを終えてから、支給申請をします。
助成金というと中小企業しか申請できないイメージがありますが、キャリアアップ助成金では大企業にも申請資格があります。ただし、受給金額は中小企業より若干低くなります。また、「生産性要件」があり、取り組みを実施して生産性が一定以上向上した場合、助成額が加算されます。
キャリアアップ助成金で一番肝となるのが就業規則の作成または改定です。各コースの条件に合わせた就業規則でないと受給することはできません。そのため、厚生労働省で掲載している「モデル就業規則」を参考するか、助成金の専門家である社会保険労務士にチェックしてもらうことをおすすめします。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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