注目の助成金(201)採択後もやることはたくさん 重要な3つの手続き・報告とは

全文公開中

中小企業庁の「事業再構築補助金」が10日から公募開始となりました。今後も「ものづくり補助金」や「新事業進出補助金」などの大型補助金が続々と公募される予定です。これら補助金の申請が採択されるのも難しいですが、採択された後もやらなければならないことがたくさんあります。今回は「交付申請」、「実績報告」、「事業化状況報告」という3つの手続きについて解説します。

◇ ◇

交付申請は採択決定された後に行う手続きです。「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」では採択されても、まだ正式に補助金を支給するとは確定していません。交付申請を経て交付決定を受けてから正式に確定します。

交付申請は補助事業に係る経費が本当に適切な金額なのか審査するための手続きです。採択前の申請時点では、補助事業に係る経費は概算のみの記載で済みますが、交付申請ではより厳密な金額の記載、及びその金額の根拠となる書類の提出が求められます。

「根拠となる書類」は主に見積書です。どの経費が補助対象となり、補助対象外となるか明確に分ける必要があります。また、補助対象となる経費についても、どの経費が「機械装置・システム構築費」にあたり、「販売促進費」にあたるかわかるように分けなければなりません。項目が細分化されかつ詳細に記載された見積書が求められます。金額が高ければ、相見積が求められる場合がありますが、項目はどちらも同じに揃えなければなりません。

不備あれば事業期間が短くなる可能性も

提出した書類に不備があれば、差し戻しされて再提出が求められます。補助事業は交付決定を受けた後でなければ実施できません。事業実施期間は期限がありますが、何度も差し戻しを受けていると、いつまでも事業を実施できないどころか、実施できる期間も短くなってしまいます。

見積書の他に経費明細表や交付申請書などの提出も必要ですが、それら書類に記載した金額に乖離・矛盾がないように、細かくチェックすることをおすすめします。

実績報告は補助事業が完了した後に行う手続きです。補助事業で実際に要した経費を報告することになります。事業を実際に実施した証跡、および実際に経費を支払ったことがわかる証跡として、注文書、納品書、領収書、対象設備を設置したことがわかる写真、通帳の写しなどの書類を提出します。「提出すべき書類を紛失した」などということがないよう、関係書類はすべて大事に保管しておきましょう。

これら書類も乖離・矛盾があれば差し戻しされます。さらに、補助金事務局の関係者が現地調査する場合もあります。

実績報告が受理されると補助金支給額が確定します。確定時の金額が交付決定時の金額より低ければ、確定時の金額が支給されます。交付決定時の金額より高ければ、交付決定時の金額が支給されます。また、補助金受給後も関係書類を一定期間保管することが求められる場合もあるため、すぐに破棄しないようにしましょう。

条件未達で返還も

事業化状況報告は補助金受給後の補助事業の進捗状況を確認するための手続きです。年1回の報告が3~5年程度続きます。補助金受給後の資本金、従業員数、販管費などの数値の報告の他に、現在の事業の取組状況の報告なども求められます。補助事業によって収益が生じている場合、受給した金額を上限として収益納付をしなければなりません。また、補助金によっては、「一定の賃上げ」、「売上目標の達成」といった条件を満たしていない場合、返還を求められる場合があります。

◇ ◇

大学受験と同じで、採択されたから一安心という訳ではありません。抜け漏れがないよう引き続き注意して、交付申請などに取り組みましょう。

2025年01月28日付6面に掲載
毎週じっくり読みたい【定期購読のご案内
今スグ読みたい【電子版で購読する

記事をシェアする

住宅産業新聞社からのお知らせ:弊社著作物の使用に関するお願い
2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

こんな記事も読まれています

この記事のキーワード

最近の連載

最近の特集企画

最近の連載

住宅産業新聞社からのお知らせ

見本紙をダウンロード

ホームページから見本紙がダウンロードできます。定期購読や広告出稿を検討している方は、こちらからご確認ください。

ファイルサイズを小さくするため、見本紙では画像を圧縮しています。パケット通信料金定額制プランに加入していない携帯電話やスマートフォンなどを利用している方はご注意ください。

見本紙をダウンロードする
(ファイルサイズ:25MB)