注目の助成金(162)事業再構築補助金の今後はどうなる?

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中小企業庁の事業再構築補助金は、コロナ禍または物価高騰の影響を受けた中小企業や小規模事業者等による新規事業を支援する大型補助金で、最大7千万円(成長枠)を受給できます。
今月6日に第11回が終了し、同月16日現在ではまだ第12回以降のスケジュールが公表されていません。なお、経済産業省の2024年度の概算要求に「事業再構築」に係る事項が明記されていることから、今後も引き続き公募されると想定されます。そこで今回は、事業再構築補助金の最近の動向や変更点について解説していきます。

まず、事業再構築補助金の直近の採択率ですが、おおよそ50%前後を推移しています。事業計画等の提出書類の出来で採択・不採択を判断するだけではなく、予算の都合に応じて各回の採択者数を調整しているようにも見えます。つまり、今後の予算額によっては採択のハードルがさらに上がる可能性もあります。

続いて、事業再構築補助金の今後の拡充や要件変更についてですが、前述の経済産業省の24年度の概算要求から推測ができます。24年度の概算要求において、「(1)物価高対策と持続的な賃上げ支援」「(2)GXやDXに関する設備投資の支援」「(3)地域経済の活性化」が中小企業関係の重点施策として掲げられています。現時点でも「従業員の賃上げによる補助率アップ」、「グリーン成長枠」等が盛り込まれていますが、それらがさらに拡充される可能性があります。

最後に、直近の変更点についてですが、補助金の不正受給を防止するためか、今までの要件より若干申請のハードルが上がっています。

第一に、企業の代わりに士業やコンサルタントが申請する、いわゆる「代理申請」が禁止されました。公募要項にも「代理申請は不正アクセスとなるため、一切認められず、当該申請は不採択となる上、以後の公募において申請を受け付けないことがある」と明記されており、企業自身で申請手続きを行わなければなりません。

なお、申請手続きについて士業等がアドバイスすること自体は禁止されていません。また、第10回の公募要項では「交付決定額が、応募申請時に計上している補助金申請額から減額となる場合もある」と書かれていた部分が、最新の第11回では「『全額対象外』となる場合もある」と追記されており、調査によっては減額どころか全額支給しないことが示唆されています。今まで以上に厳しく事業計画等の書類が精査され、場合によっては抜打ち調査が行われる可能性があります。

第二に、採択後に行う交付申請時の書類提出について、1つの経費につき必要な見積が2者から3者以上に変更になりました。つまり、同一仕様の相見積を2者以上取得する必要があります。その経費が適正な価格かどうか、より厳密に審査するための措置と考えられます。また、今までは機械・システムや建物等特定の経費についてのみ、相見積の提出が求められましたが、今後は1者あたりの見積額が税抜50万円以上であれば、どの経費であっても相見積を取得しなければなりません。

原則最も価格が低い見積が採用されるため、取引予定の業者が相見積より高くならないよう注意する必要があります。どうしても相見積を取れない場合、または最も低い価格の見積を選定したくない場合は、「業者選定理由書」及び価格の妥当性を示す書類の提出が求められます。

事業再構築補助金は今後さらに拡充されつつも、予算や審査基準によっては申請のハードルが高くなる可能性があります。しかしそれでもなお、数千万円の補助金を受給できるチャンスではあるため、大型の設備投資を予定している方は申請を検討してみることをおすすめします。

2023年10月10日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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