中小企業庁は3月14日、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(通称=ものづくり補助金)の19次公募を開始しました。申請開始日は4月11日、申請締切日は4月25日になるとのことです。枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」に分かれますが、今回は前者について解説します。
◇ ◇
「製品・サービス高付加価値化枠」は革新的な新製品・新サービスの開発に必要な設備投資にかかる費用を補助します。新製品・新サービスは、あくまで革新的(=まだ普及していない、競合他社がいない)であることが必要であり、同業者の間ですでに普及しているものの開発は対象外となります。また、今までは「生産プロセスの改善に資する設備投資」も対象でしたが、今回は入っていません。その設備投資については「中小企業省力化投資補助金(一般型)」を活用することになります。
補助対象者は中小企業と小規模事業者です。なお、「申請締切日以前の14ヵ月以内に採択された事業者」は対象外です。つまり、前回の18次(採択発表日2024年6月25日)、前々回の17次(採択発表日24年5月20日)で採択された事業者は申請できません。申請締切日以前の3年間に2回以上交付決定をされた事業者も申請できません。過去3年間に1回だけだとしても、審査の際の減点項目となります。
また、補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、「付加価値額の年平均成長率3%以上」、「給与支給総額の年平均成長率2%以上(または最低賃金の直近 5年間の年平均成長率以上)」、「事業所内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上」の要件をすべて満たす必要があります。特に給与支給総額と最低賃金の要件については、目標を達成できなければ、補助金の返還義務があります。さらに、従業員21名以上の場合、「一般事業主行動計画」の策定・公表も求められます。
補助上限額は最大2500万円
補助上限額は従業員数によって異なります。従業員数5人以下は750万円、6~20人は1千万円、21~50人は1500万円、51人以上は2500万円となります。補助率は中小企業が1/2、小規模事業者が2/3です。
なお、大幅な賃上げまたは最低賃金の引上げを実施する場合、補助額が引上げられます。前者の場合、従業員数5人以下は100万円、6~20人は250万円、21人以上は1千万円まで上限額が引き上げられます。後者の場合は補助率2/3にアップします(小規模事業者は適用不可)。
補助対象経費は、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費が該当します。特に機械装置・システム構築費の申請は必須要件であり、かつ単価が税抜50万円以上のものを取得することも求められます。
加点で採択率アップを
審査の際の加点項目として、「一定の賃上げ」、「経営革新計画」、「事業継続力強化計画」、「えるぼし認定」、「くるみん認定」、「事業承継・M&Aの実施」、「成長加速マッチングサービス」の会員登録などがあります。採択率を上げるため、達成可能な項目はなるべくすべて押さえておくことをおすすめします。
審査は書面審査だけでなく、オンラインによる口頭審査もあります。口頭審査に参加できるのは申請者1名のみとなり、コンサルタントの参加は認められません。そのため、事業者自身が事業計画を適切に説明できるようにすることが必要です。
◇ ◇
近年補助金の不正受給が相次いだことから、審査がますます厳しくなってきています。「事業は実現可能か?」、「実施に必要な体制が整っているか?」、「資金の確保をどうするか?」などを客観的な根拠に基づき整理した上で申請に臨みましょう。
記事をシェアする
こんな記事も読まれています
この記事のキーワード
最近の連載
- 注目の助成金(208)最大5億円の中小企業成長加速助成金
- 注目の助成金(207)補助金で販路開拓全般を支援
- 注目の助成金(206)事業計画作成に便利なSWOT分析
- 注目の助成金(205)補助上限額が大幅アップ!「ものづくり補助金」の公募開始
- 注目の助成金(204)「不正受給」とみなされてしまうケースとは?
- 注目の助成金(203)オーダーメイド設備が対象の「中小企業省力化投資補助金(一般型)」
- 注目の助成金(202)「企業・会社」だけじゃない!補助金を申請できる法人とは?
- 注目の助成金(201)採択後もやることはたくさん 重要な3つの手続き・報告とは
- 注目の助成金(200)事業再構築補助金の最終公募が開始
- 注目の助成金(199)2つの新設補助金の概要が公表