住宅各社は最近、多世帯住宅という言葉を使い始めています。これまで、独立していた親世帯と子ども世帯が、何らかの理由で同居することになった住まいのことです。「何だ、二世帯住宅か」と思われるかもしれませんが、親子同居に親族が加わるなど、3世帯や4世帯住宅といったケースもみられるからです。
高齢化や子(孫)育てのメリットが大きいほか、都市部では来年1月1日から施行が予定される、相続税法の改正の影響もあるようです。血縁ゆえの親密な関係が築けるというメリットはありますが、血縁だからこそのトラブルや問題も起こるようで、事前のお互いの本音での話し合いは不可欠といえそうです。
核家族化の時代にみられた〝嫁姑問題〟に代表されるように、かつての二世帯同居へのイメージは決してプラスではなく、地価高騰などで単世帯をあきらめた「消極的な」同居が多かったといわれています。しかし、共働き家族の増加を背景に両世帯での家事や育児の協力など、むしろ最近ではより「積極的な」同居がみられるのが特徴です。同居によって家計負担を減らそうという現実的な面に加え、東日本大震災以降の家族の〝絆〟を見直す動きも後押ししています。