
すでに動き始めている「未来の家プロジェクト」もある。
連携したのは、通信事業者のNTTドコモとアプリケーション開発を手がけるand factory。「健康で快適な住まい」として想定しているのは、例えば自動的にカーテンの開閉・ドア開閉・照明の照度制御を行うほか、ベッドに備え付けた睡眠計で睡眠の深さを計ったり、ダイニングルームに設置されたカメラで撮影した写真から食事の栄養を管理したり――といったことを自動制御・可視化できる住まい。
これら多様な技術を一元的に管理することなどを想定しているが、さらに10年、20年という将来にわたって高齢者などに快適性を提供できるようにするため、引き続き、ハウスメーカーや新たな技術を提案する企業を募集している。ハウスメーカー・工務店も1社だけでなく、複数の参加を求める。
「住まいは快適を求めるにも個人差があり、事業者は独自性をもっていると思うので、それを選択できることが必要だ」(経済局産業立地調整課)。「快適な住まい、暮らし」の感じ方や基準は、毎日過ごす身近な物であるからこそこだわりもある。幅広い選択肢のなかから、個人それぞれに合った快適性を選べることで、実際の社会に根付き、ビジネスとして走り出すことができると考えている。
現在、移動型のモデルルームを製作しており、今秋から企業向けセミナーを実施。体感できるようにする。
将来は、住宅のあらゆる場面でIoT技術を使えるようにしたいとの意向もあるが、まずは「IoTとはどんなものか」「AIを試しに使ってみたい」という声に応えられるように、一部のメニューを切り出して9800円など比較的低額で販売する方針もある。
住宅や生活、健康関連のAIやIoT技術に対し、個人情報管理や安全性に不安を抱く消費者は少なくない。市は、新しい技術を利用した製品を少しずつ生活に取り込んでもらうことで、不安解消につなげる考えだ。
横浜市の65歳人口は2020年に約100万人となる見通し。政令指定都市が2つできる人口だ。行政としては増加している一人住まいの高齢者のケアに介入する必要がある。高齢者自身がいつまでも健康で元気に暮らせるための住まいには期待もあり、確実な需要があると見込む。