
戸建住宅大手企業が、「木質(造)化」という新たな取り組みをスタートさせている。住友林業や三井ホーム、ミサワホームなどの木造住宅企業は、自社の木質技術のノウハウを生かし施設系の大規模物件への展開を試行する。2010年に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を受けて、市場拡大への期待感が背景にある。一方で、鉄骨系主体の住宅企業でも積水ハウスが10年ぶりとなる木造住宅構法を一新させた。いずれも、自社の主戦場とは異なる市場の掘り起こしで、新たな成長戦略につなげようという思惑がみえる。
住友林業、木の能力や可能性引き出す
10年に施行された公共建築物等木材利用促進法が、木造建築物を改めて見直させるキッカケとなったのは、衆目の一致するところ。戸建住宅企業の取り組みもこのあたりからで、住友林業が「木化事業」の専任部隊となる木化推進室(現木化営業部)を発足させたのは11年4月のことだった。
木化事業とは、住宅だけでなく広く一般建築物への木造化(構造)・木質化(内装)を推進すること。木そのものが持つ能力や可能性を引き出して、適材適所の考え方で、住居以外の建築分野でも木を活用していこうというものだ。
翌12年には、国土交通省が「平成24年度木造建築技術先導事業」に採択された6件中3件を、同社が施工もしくは設計・施工した物件が占めるなど取り組みを強化した。