国土交通省は住宅に関する施策を担当しており、関連する支援制度が多数あります。そこで今回は住宅の取得を支援する「すまい給付金」と改修を支援する「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について紹介します。
すまい給付金で消費税負担を軽減
すまい給付金は、消費税率を8%または10%に引き上げた後に住宅を取得した場合、消費税引き上げによる負担を軽減する目的で給付する制度です。
対象者は不動産登記上の持分保有者です。住民票によって対象住宅に居住していることが確認できない場合(空き家など)、たとえ住宅を取得していても対象外となります。また、対象者の収入が一定以下である必要があり、条件は、住宅を取得した当時の消費税率によって変わります。
消費税8%当時の場合は収入額510万円以下、消費税10%当時の場合は収入額775万円以下となります。なお、住宅ローンを利用しない場合で、かつ対象者の年齢が50才以上である場合、消費税10%当時の収入額が650万円以下であることが要件となります。ちなみに、すまい給付金における住宅ローンは「自ら居住する住宅の取得が目的」「償還期間5年以上の借入れ」「金融機関等からの借入れ」という要件を満たす必要があります。
すまい給付金の対象となる住宅は、質に関して一定の要件以上である必要があります。原則新築住宅が対象ですが、中古住宅も消費税の課税対象(業者からの買取等)となる場合は対象となります。個人間での中古住宅売買は消費税の課税対象ではないため、対象外となります。また、「消費税率を引き上げた後に取得する」「床面積50平方メートル以上」「第三者機関の検査を受ける」などの要件があります。なお、新築の注文住宅は2020年10月1日から21年9月30日まで、分譲・中古住宅は20年12月1日から21年11月30日までに契約した場合、床面積の要件が40平方メートル以上に緩和されます。
住宅は消費税率が引き上げられた14年4月以降から税制面での特例が措置される21年12月31日までに入居が完了していなければなりません。なお、新築の注文住宅は20年10月1日から21年9月30日まで、分譲・中古住宅は20年12月1日から21年11月30日までに契約した場合、22年12月31日までに入居完了すればよいことになっています。
給付額は住宅取得者の収入と持分割合により決まります。収入額によって給付基礎額が決まり、それに持ち分割合を掛けた金額が給付額となります。
リフォームを支援する助成金
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の優良なリフォームを支援する制度です。
補助対象は戸建住宅または共同住宅です。事務所や店舗等住宅以外の建物は対象外となります。リフォーム工事は「工事前にインスペクション(建物の現況調査)を実施すること」「工事履歴と維持保全計画を作成すること」等の要件を満たす必要があります。
対象リフォーム工事は以下のパターンに分かれます。劣化対策(必須)、耐震性(必須)、省エネ(必須)、高齢者対策(共同住宅のみ)等に関して基準以上の性能向上を行う「特定性能向上工事」、外壁・屋根の改修、バリアフリー工事、テレワーク環境整備改修等の「その他性能向上工事」、キッチン・浴室・トイレ・玄関のいずれか2つの増設工事を行う「三世代同居対応改修工事」、「子育て世帯向け改修工事」、「防災性・レジリエンス性の向上修工事」です。
補助率は3分の1ですが、補助上限額はリフォーム工事実施後の住宅性能に応じて変動します。劣化対策、耐震性、省エネルギー対策について評価基準に適合した場合(評価基準型)1戸あたり万円、全ての性能項目で長期優良住宅の認定基準に適合した場合(認定長期優良住宅型)同万円、長期優良住宅の認定を受け且つ一次エネルギー消費量が省エネ基準比20%削減された場合(高度省エネルギー型)同万円が上限となります。三世代同居対応改修工事を実施する場合、同50万円を上限に加算されます。今年度の申請期間は22年1月31日までとなりますが、来年度も引き続き公募される予定です。
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