企業が助成金・補助金を活用する方法は以下2つがあります。
第1に、経営課題解決や職場環境改善のために必要な経費を確保するため、自社が助成金・補助金を申請・受給する方法です。ほとんどの企業がこの方法で活用しています。
第2に、自社商材が対象になる助成金・補助金を顧客に提案する方法です。つまり、「助成金・補助金の対象となっている商材を自社が販売する」と言うスキームで助成金・補助金を活用するのです。「この商材の購入費用の一部が補助金として返ってくる」という提案ができれば、商材の拡販がしやすくなります。
そこで今回は助成金・補助金を営業ツールとして活用する方法を解説します。
中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」を営業活動で活用するとしましょう。本補助金は、店舗の内装工事、ソフトウェア導入等、「販路開拓に資すること」が説明できれば、幅広い経費が対象となります。上限額は50万円、補助率2/3。つまり、75万円の商材がある場合、実質75万円×(1-2/3)=25万円で顧客に提案することができます。
他にも、国土交通省の「こどもエコすまい支援事業」であれば、一定の省エネ機能を持つ注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入が対象となります。また、「住宅・建築物省エネ改修推進事業」であれば、住宅の省エネ改修工事が対象となります。さらに、電気自動車(EV)であれば「CEV補助金」、EV充電器であれば「充電インフラ補助金」等、さまざまな設備に対応した補助金が公募されています。
助成金・補助金は国だけでなく、地方自治体でも公募されています。東京都の「テレワーク促進助成金」ではテレワークに必要なパソコンやソフトウェアが対象経費となります。また、石川県七尾市の「既存木造住宅耐震対策補助金」では、木造住宅の耐震化に必要な改修工事費用を補助します。他にも、愛知県江南市の「住宅用火災警報器設置費補助金」、神奈川県座間市の「子育て世帯等住宅リフォーム補助」、福島県本宮市の「ブロック塀等改修助成事業」等があります。
このように、自社商材が対象となり得る助成金・補助金が全国各地に存在しています。自社商材が対象経費となりそうな助成金・補助金が公募されていないか、公官庁、都道府県、市区町村のHPを随時チェックしてみましょう。自力で探すことが難しいと感じるのであれば、株式会社ナビットが運営する全国の助成金・補助金検索サイト「助成金なう」を活用するのがおすすめです。気になるキーワードやエリアで検索すれば、関連する助成金・補助金を容易に見つけることができます。
なお、助成金・補助金を活用した営業活動には注意点があります。
第1に、自社の営業が助成金・補助金の知識を身に着ける必要があります。きちんと理解せず、助成金・補助金を顧客に提案してしまうと、後々トラブルに発展する恐れがあります。「自社商材が補助対象となると思って補助金を提案したら、実は対象外だった」と言うケースもあります。また、営業の中には「そもそも助成金・補助金が何なのかわからない」と言うレベルの方もいます。事前に助成金・補助金に係る勉強会や概要資料の配布等を行って、各営業が正しい知識を持つようにしておきましょう。
第2に、自社商材が顧客から発注されるタイミングは原則助成金・補助金が採択された後となります。助成金・補助金申請は最低でも1ヵ月以上かかり、採択結果がわかるのは申請後1~2ヵ月程度となります。そのため、すぐに商材を購入したい企業への提案は難しいです。なお、ごく少数ですが、商材購入後に申請を行う助成金・補助金もあります。
第3に、助成金・補助金は採択されない場合があります。採択されなければ、顧客に「やはり注文しない」と言われるリスクがあります。少しでも採択率を高めるため、助成金・補助金の申請サポートが得意な中小企業診断士やコンサルティング会社等を活用するのがおすすめです。
上記の注意点に気を付けていれば、助成金・補助金は有効な営業ツールとして活用できます。
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