注目の助成金(171)防災で使える補助金を紹介

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前回は能登半島地震に係る被災者支援の給付金・補助金についてご紹介しました。他の地域もいつ震災が起き、被害を受けるかわかりません。そのため、各自治体では個人・事業者を問わず防災に関する補助金を募集しています。そこで、今回は防災で使える補助金にどんなものがあるか紹介していきます。

まずは、東京都千代田区の「事業所における備蓄物資購入の費用助成」についてご紹介します。震災によりインフラが切断された場合、食料や水等が必要となるため、各自治体では常日頃から非常時用の物資の確保を推奨しています。千代田区でも、企業が非常時のための物資を備蓄し資材を確保するよう、それらの経費に対して助成金を支給しています。

助成対象者は従業員数5人以上300人未満の事業所です。対象物資として、水・食料の他に、寝袋・携帯トイレ・ヘルメット・懐中電灯・ラジオ等、非常時に必要となるもの全般が含まれています。

助成額は所在する地域の町会に加入しているかどうかで異なり、「町会に加入し、その活動に恒久的に参加しており且つ推薦がある事業所」であれば最大10万円(助成率2/3)、それ以外の事業所であれば最大10万円(助成率1/3)となります。

次に、埼玉県深谷市の「住宅耐震化補助制度」についてご紹介します。各自治体では、特に震災による倒壊・火災リスクがある木造住宅の耐震化を推奨しています。深谷市でも、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で工事着手した木造住宅を対象として、住宅の耐震診断や耐震改修にかかる費用を補助しています。

建築士による有料の耐震診断であれば、最大5万円(補助率1/2)、耐震改修であれば最大30万円(補助率1/3)となります。なお、65歳以上の方のみが居住する住宅の改修は最大50万円、長屋・共同住宅の改修は1戸当たり最大10万円となります。また、市外業者が施工する場合は補助率1/2となります。

次に、岡山県玉野市の「空家等除却事業補助制度」についてご紹介します。木造住宅と同じく、空き家も震災による倒壊リスクがあります。また、治安や景観上等の問題もあり、各自治体では特に保全状態が悪い空き家の解体を推奨しています。
玉野市では、1年以上誰も居住しておらず、かつ保全上危険となる恐れのある状態と市に認定された空き家を対象として、解体費用を補助しています。市内施工業者に依頼して空き家の除却工事を行った場合、最大50万円(補助率1/3)が補助されます。

次に、和歌山県新宮市の「ブロック塀等耐震対策事業補助金」についてご紹介します。2018年の大阪北部地震にてブロック塀が倒壊して女児が亡くなる事故が発生しましたが、それ以降ブロック塀も震災による倒壊リスクがあるものとして、各自治体で除却が推奨されています。

新宮市では、市により安全対策が必要と判断された高さ60センチ以上のブロック塀を対象として、撤去事業及び軽量な塀等に転換する改善事業にかかる経費を補助しています。撤去事業であれば補助額=撤去する面積×1万5千円×9/10(最大15万円)、改善事業であれば補助額=工事費と新設する長さ×2万6千円×9/10(最大15万円)が支給されます。

最後に、茨城県小美玉市の「防災士育成事業補助金」をご紹介します。「防災士」とは、家庭・地域の防災を中心に学び、非常時に正しい技能・知識を発揮するための資格であり、地域の要請による避難誘導・救助、防災意識の啓発、防災計画の立案等が期待されています。自治体によっては、住民の防災意識を高めるために防災士の資格取得を推奨しているところもあり、小美玉市でも防災士の資格取得費用に対して補助金を支給しています。

防災士の教本代、研修講座受講料、資格取得試験受験料、防災士認証登録料が対象経費となり、1人につき1回限り最大1万円が補助されます。

このように、各自治体ではさまざまな防災関係の補助金が募集されています。防災対策をする際は、お住いの自治体でどんな補助金があるか確認することをおすすめします。

2024年01月30日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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