政府・与党は0~2歳児がいる世帯に対して、子ども1人当たり10万円分のクーポンを支給する「出産準備金」を2023年春頃に開始する方針であることを発表しました。自治体が対象世帯にクーポンを支給し、そのクーポンと引き換えに指定の育児用品や子育て支援サービスを提供するとのことです。今回は「出産準備金」について紹介します。
出産準備金は、少子化の加速を抑えるための施策となります。近年、日本の出生数は減少し続けています。22年6月上旬の政府発表によると、21年の合計特殊出生率は1.30と低い水準となっています。また、世界銀行のデータによると、22年9月の合計特殊出生率世界ランキングで日本は208ヵ国中191位となっています。「国民年金の納付期間を45年まで延長する」、「75歳以上の後期高齢者にも出産一時金の財源を負担してもらう」等の施策も検討されており、少子化は政治経済に大きな影響を及ぼしています。
そのために設けられる制度が「出産準備金」であり、22年度第2次補正予算案に関連経費として計上し、23年度以降も継続的に支援を行うとのことです。
この制度が発表された22年10月15日時点では、まだ具体的な要件が公表されていませんが、自治体レベルでは類似した施策が既に行われています。今回は東京都の「出産応援事業」等、各自治体の子育て支援制度について紹介してます。
東京都の出産応援事業では、「21年1月1日から3月31日までに出産し、かつ出生日及び22年4月1日に、その子を含む住民登録が都内にある世帯」、または「21年4月1日から23年3月31日までの間に出産し、かつ出生日に、その子を含む住民登録が都内にある世帯」に該当すれば対象となります。つまり、21年1月から23年3月までに出産すれば、原則どの世帯も対象になります。
申請は原則不要です。出生時に住民登録がされている市区町村を通じて、対象世帯へ専用のIDカードが配布されます。そのIDを使って専用WEBサイトへアクセスし、初回登録を行うと、10万円相当のポイントが付与されます。
そしてそのWEBサイトで、希望する育児用品・子育て支援サービスを10万円分まで選択して申込むことができます。商品はさまざまなバリエーションがあり、ベビー服やチャイルドシート等のベビー用品はもちろん、ベビーシッターや家事支援サービス、絵本やブロック等の玩具、空気清浄機、マスク、お掃除ロボットも申し込むことができます。初回登録の最終期限は23年年10月1日まで、商品の申込期限は初回登録時から6ヵ月となります。
「出産準備金」と併用できるかはまだ不明ですが、併用可能となれば、都内の家庭は最大20万円分の支援を受けられることになります。
各自治体でもさまざまな子育て世帯向け支援を既に展開しています。たとえば愛知県では、愛知県内(名古屋市を除く)在住の18歳未満の子を育てる世帯、または妊娠中の方がいる世帯を対象に「はぐみんカード」という子育て世帯優待カードを配布しています。このカードを用いれば、県内の協力店舗・施設で商品サービスの割引等の特典を受けられます。また、広島県庄原市では、出産後3年以上庄原市に在住しようとする世帯を対象にして、第一子・第二子は10万円、第三子以降は25万円の出産祝金を支給しています。
国の「出産準備金」と自治体の子育て支援が併用できれば、子育てに必要な出費を大幅に抑えられます。お住いの自治体でどんな子育て支援が行われているか確認してみましょう。
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