
国土交通省は1日、「LCCM住宅整備推進事業」の公募を開始しました。「LCCM住宅」とは、建設時・居住時・廃棄時における省エネに取り組むことで、その住宅が排出するCO2の収支をマイナスにする住宅を指します。20年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言し、今まで「認定低炭素住宅」や「ZEH」と言った省エネ住宅の建設を推奨してきました。しかし、「CO2の排出量をトータルでマイナスにしよう」というLCCM住宅はさらに強化された省エネ住宅と言えます。今回はこのLCCM住宅の補助金について解説していきます。
補助対象となる住宅は新築の戸建住宅のみです。「省エネ住宅」であることから、再生可能エネルギーを導入できる仕組みはもちろん、LCCO2(ライフ・サイクルCO2=製品の製造から廃棄・再利用までの全段階におけるCO2発生量)が0以下となること等も条件です。
この補助金を申請するのは実際に住宅に居住する方ではなく、住宅供給事業者です。事業者は補助金の対象となる戸建住宅を購入した方に対して、受給した補助金相当額を還元しなければなりません。
そのため、建売戸建住宅の場合は住宅分譲に係る誓約と併せて交付申請手続きを行い、注文戸建住宅の場合は建築主と共同事業実施規約を締結する必要があります。
補助対象経費は設計費と指定建設工事の掛かり増し費用となります。設計費は具体的には、「エネルギー消費量等の計算にかかる費用」、「LCCM住宅や省エネ性能に係る第三者認証・認定の取得に要する申請費用」、「プレート購入費等評価結果を表示するための費用」となります。なお、省エネ性能等の表示のみでその後の整備を伴わない場合は対象外です。建設工事の掛かり増し費用は補助対象となる住宅工事費用と標準住宅工事費の差額となります。
補助額は「補助対象工事の掛かり増し費用から算出」か「補助対象となる建設工事全体の費用から算出」のいずれかで算出します。前者の場合、補助額=設計費の合計×1/2+補助対象工事の掛かり増し費用×1/2となります。後者の場合、補助額=設計費の合計×1/2+補助対象となる建設工事費全体×4/100となります。なお、どちらの場合でも補助額の上限は1戸あたり140万円となります。
申請の流れとしてはまず8月31日までに交付申請を行う必要があります。申請方法はjGrantsを利用した電子申請です。電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。このアカウントの取得自体は無料ですが、取得できるのは申込してから3~4週間かかるため、まだ取得していない方は早急に対応しましょう。交付申請時には、「建築士による基本要件への適合確認書」が必要であり、根拠書類としてLCCO2の評価資料、ZEH要件の評価資料、住宅の品質の確保を確認できる資料等も必要です。また、補助対象経費の根拠書類として工事請負契約書や見積書の提出も求められます。交付決定後は実際に工事に着手し、23年1月6日までに完了実績報告を行います。完了実績報告では、領収書や送金伝票等実際に事業費を支払ったことがわかる書類、工事の実施状況がわかる写真等の提出が求められます。そして完了実績報告が認められた後、補助額が確定し、その額が支給されることになります。
最近は政府が節電要請を行う等、省エネの必要性が高まってきており、SDGsやコスト削減の観点でも省エネ住宅に注目が集まっています。省エネ住宅を建設する際は関連する補助金を積極的に活用していきましょう。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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