注目の助成金(187)ZEHの集合住宅の新築を支援

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多数の省エネ補助金の公募を行う「一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)」にて「ZEH-M支援事業」という補助金が公募されています。省エネ設備・創エネ設備を導入することによって、エネルギー消費量を正味ゼロにする「ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」を目指した集合住宅の新築を支援する補助事業です。集合住宅の高さに応じて、低層ZEH-M支援事業(公募期間は5月10日~12月6日)、中層ZEH-M支援事業(公募期間は5月10日~12月6日)、高層ZEH-M支援事業(公募期間は5月27日~6月21日、9月2日~9月30日)にわかれます。

申請できる補助事業者はSIIにて登録されているZEHデベロッパーか、ZEHデベロッパーに補助事業の発注をする建築主となります。ZEHデベロッパーとはZEH-Mの普及に向けた取組や導入実績を公表し、ZEH-Mに係る事業を支援する建築主(マンションデベロッパー等)や建築請負会社(ゼネコン、ハウスメーカー等)を指します。

低層ZEH-M支援事業は、住宅用途部分が1層~3層の集合住宅が対象となります。1戸あたりの補助額は40万円(定額)ですが、1事業あたりでは上限6億円(年間上限3億円、事業期間最長3年間)となります。

なお、「蓄電システム」、「EV充電設備・V2H充電設備」、「直交集成板(CLT)」、「地中熱ヒートポンプ・システム」、「PVTシステム」、「液体集熱式太陽熱利用システム」と言った創エネ設備を導入した場合、補助額が加算されます。たとえば、蓄電システムは1戸あたり上限20万円が加算され、6平方メートル以上の液体集熱式太陽熱利用システムを導入した場合は15万円が加算されます。他の補助金との併用は原則不可ですが、「給湯省エネ2024事業」の「燃料電池(エネファーム)」の導入は併用可能などの例外もあります。

省エネの基準はZEHかNearly ZEHになります。ZEHは省エネ設備と創エネ設備によってエネルギー消費量が基準値から100%以上削減されることが求められます。Nearly ZEHは75%以上100%未満の削減が求められます。

中層ZEH-M支援事業は住宅用途部分が4層~5層の集合住宅が対象となります。また、高層ZEH-M支援事業は住宅用途部分が6層~20層の集合住宅が対象となります。つまり、5層の集合住宅でも4~5層部分が事業所として使われているのであれば「低層」と判断されます。また、住宅用途部分が21層以上の集合住宅は対象外となります。

補助額はどちらも同じで、1戸あたり補助額50万円(補助率1/3)、1事業あたり上限8億円(年間上限3億円、事業期間最長4年間)となります。

省エネの基準は低層ZEH-M促進事業より緩めとなります。中層ZEH-M支援事業はZEH Ready(エネルギー消費量削減50%以上)、高層ZEH-M支援事業はZEH Oriented(エネルギー消費量削減20%以上)以上であれば良いとされています。

申請方法は低層・中層ZEH-M支援事業は先着方式ですが、高層ZEH-M支援事業は採択審査方式となります。つまり、低層・中層ZEH-M支援事業は予算に達し次第、公募が打ち切られるため、早めの申請が必要です。一方、高層ZEH-M支援事業は公募期間が短く、且つ事業単位ではなく住棟単位で申請する必要があるため、公募開始前から申請準備を進めておく必要があります。また、申請しても必ず採択される訳ではありません。

申請から入金までの流れは一般の補助金と大きな違いはありません。交付申請の審査を経て、交付決定通知が来た後、実際に補助対象工事を開始します。事業実施期間中は中間報告を求められることもあります。事業が完了した事業実施報告を行い、その審査が完了したら、ようやく補助金が入金されることになります。

エネルギー価格の高騰や環境への配慮などの背景から、今後ZEH-Mの需要が高まってくると想定されます。集合住宅の新築を検討している方は、この補助金の活用を検討してみることをおすすめします。

2024年08月20日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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