政府は11月2日、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージに向けて~(以下「総合経済対策」)」を閣議決定しました。物価高騰に応じた持続的賃上げ、国民の経済生活を守るための支援、省人化・省力化のための設備投資等をベースとして、補助金・給付金に係るさまざまな施策が盛り込まれています。今回は今後の補助金・給付金について解説していきます。
まずは今後の補助金についてです。
第一に、成長分野への設備投資を支援する「事業再構築補助金」に新たな制度が盛り込まれる予定です。「総合経済対策」によると、「簡易で即効性がある省人化・省力化支援に向けた中小企業等事業再構築促進事業の再編」が行われるとのことです。
「簡易で即効性がある省人化・省力化支援」について、カタログから汎用製品を選択して導入する形式を取ることで、スムーズに省人化・省力化につながる設備投資を行えるようにするとのことです。「IT導入補助金」のように、事務局に指定された設備しか導入できない形式を取るものと想定されます。
第二に、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」の他に、「中堅・中小企業の持続的賃上げに向けた省人化等の大規模成長投資の促進」に係る新たな補助金が創設される予定です。地方においても持続的な賃上げが可能になるよう、中堅・中小企業による工場立地や大規模な設備投資を支援するとのことです。詳しい要件はまだ明らかではありませんが、「工場立地等を支援する」と言うことから、「事業再構築補助金」よりも補助額が大きくなると想定されます。
第三に、GX(グリーントランスフォーメーション)に係る補助金の拡充を行うとのことです。省エネ・再エネをさらに促進させるため、大型の省エネ設備の導入を支援する「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」・「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」、省エネ住宅の新築・改修を支援する「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」・「質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援」、電気自動車の普及を目指す「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」等を引き続き実施していくとのことです。
その他にも、インボイス制度が10月より義務化されたことに伴う関連システムの導入支援に係る補助金や、重要物資の安定的な確保をするためのサプライチェーン強靭化に係る補助金も拡充していくとのことです。
次に今後の給付金について説明します。
住民税非課税世帯に対して、1世帯7万円の給付金が実施される予定です。23年夏以降に、住民税非課税世帯に対して1世帯3万円の給付金(重点支援地方交付金)が実施されていますが、それに7万円を上乗せすることで合計10万円を支給する形を取るとのことです。
また、住民税非課税世帯ではない低所得世帯への支援も行う予定です。「総合経済対策」では以下世帯への経済的支援が明記されています。「住民税非課税世帯には該当しないが、個人住民税の定額減税の対象とならない住民税均等割のみ課税される世帯」、「定額減税が開始される時期に新たな課税情報により住民税非課税世帯に該当することが判明する世帯」、「低所得者世帯のうち世帯人数が多い子育て世帯」、「定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の者」です。
さらに、全世帯への経済的支援として、4万円分の減税措置も行う予定です。具体的には、納税者及び配偶者を含む扶養家族1人につき、所得税3万円と個人住民税1万円の計4万円の減税を行うとのことです。令和6年分の所得税額が減税額を下回る場合、令和7年分の個人住民税から控除できる仕組みも設けるとのことです。
上記で説明した補助金・給付金に関する情報は随時公官庁で発信されていく予定です。具体的にどのような要件や支援内容なのかを、毎日ニュースに目を通してチェックしていきましょう。
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