補助額が大きな補助金というと、中小企業庁のものづくり補助金や事業再構築補助金が有名ですが、各地方自治体でもものづくり補助金に勝るとも劣らない規模の補助金が公募されています。そこで今回は各自治体でどのような大型補助金が公募されているのか、事例をいくつか紹介していきます。
第一に、東京都の補助金についてご紹介します。
東京都は他の自治体と比べ、補助金を多数設けています。また、補助額1千万円以上のものも多数あり、その中でも特に人気が高いのが「新製品・新技術開発助成事業」です。
その名の通り、新たな製品・サービスの実用化に向けた研究開発費用に対して、最大1500万円(助成率1/2)を支給します。最大の特徴は開発に係る直接人件費も対象経費になることです。中小企業庁のものづくり補助金では人件費が対象外となるため、人件費が最も費用がかかるということであれば、こちらにチャレンジしてみてもよいかもしれません。また、事業実施期間も1年9ヵ月とものづくり補助金より長い期間で設定しているのも魅力となります。
なお、書類審査の他に面接審査も行われ、事業計画について細かくヒアリングされるため、適切に受け答えできるよう事前の練習が必要です。
「新製品・新技術開発助成事業」以外にも、下請け企業の技術・サービスの高度化・高付加価値化を支援する「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金(最大2千万円、助成率2/3)」、ウイルス対策ソフトやサーバ等のサイバーセキュリティに必要な経費を助成する「サイバーセキュリティ対策促進助成金(最大1500万円、助成率1/2)」、緊急用自家発電機、バックアップ用サーバ、非常時用の食料等の防災に必要な経費を助成する「BCP実践促進助成金(最大1500万円、助成率1/2)」等があります。
第二に、千葉県の「ちば中小企業生産性向上・設備投資補助金」をご紹介します。自治体の補助金は国の補助金の目的に合わせる傾向にあります。本補助金も、国の補助金で重視されている「省人化」を目的としています。最大500万円(補助率1/2)が支給され、ものづくり補助金なみに対象経費の範囲が広いのが特徴です。ものづくり補助金では「導入する機械設備は単価50万円以上」等の要件がありますが、それらを満たせない場合は、自治体の同じタイプの補助金を申請することをおすすめします。
第三に、長崎県の「製造業物価高騰対策支援事業費補助金」について紹介します。
生産性向上に資する設備投資に対して最大1億円(補助率2/3)を補助します。額が非常に大きく、建物の取得に係る経費も対象となります。多くの自治体では、産業振興のために企業立地や工場増設に対して億単位の補助金を支給しています。新たな建物の取得を検討している場合は、その自治体で企業立地に係る補助金が出ているか確認することをおすすめします。
第四に、愛媛県の「脱炭素型ビジネススタイル転換促進事業費補助金」について紹介します。
「省力化」と同じく、国の補助金で重視されている「省エネ」に係る設備投資を支援するものとなります。省エネ関係の補助金は自治体の中でも特に多く、1千万円以上の補助金を支給するものもあります。本補助金も、エコキュート・換気設備等の省エネ設備、太陽光発電・蓄電池等の再エネ設備の導入に対して、最大1千万円(補助率1/2)を補助します。
自治体の補助金はものづくり補助金と比べると、公募期間が短く設定される傾向にあります。原則例年ほぼ同じ要件で公募されているため、公募前までに前回の公募要項を読み込んで準備を進めておくことをおすすめします。
また、公募期間が長く設定されている補助金でも、予算が尽きて途中で終了する場合が多いです。そのため、公募次第早めに申請を済ませておくをおすすめします。
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