経済産業省から2022年度の予算の概算要求が出ています。その中には、事業再構築補助金やものづくり補助金、IT導入補助金等の中小企業庁の大型補助金に関する事項、新設される補助金に関する事項等が盛り込まれており、22年度の補助金の動向を予測することができます。
そこで今回は22年度に出ると予測される補助金について紹介します。
経産省の22年度予算概算要求は1兆4026億円となり、21年度の1兆2533億円から約12%増加しました。また、中小企業対策費も21年度の1117億円から1396億円に増額されています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大、同一労働同一賃金の義務化、最低賃金の引上げ等により、中小企業や小規模事業者の経営環境は厳しくなっています。そのため、22年度も中小企業や小規模事業者が事業を継続できるよう、事業再構築、事業承継、生産性向上に関する取り組みを引き続き支援していくことが想定されます。
予算の中でまず注目するべきは、売り上げが下がった事業者の事業転換を支援する事業再構築補助金に関する予算が含まれる「事業再構築・承継・再生を目指す事業者の後押し」と言う項目です。予算は21年度の182億円(+中小機構交付金から177億円)から298億円(同+185億円)に大幅アップされる予定です。つまり、事業再構築補助金に関する支援をさらに強化することが想定されます。22年度も事業再構築補助金が中小企業庁の目玉の補助金となりそうですね。
事業承継や引継ぎ支援に関する予算も21年度16・2億円から47・1億円へと3倍近くアップされます。さらに、「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業(予算25・4億円)」が新設予定で、複数の企業が協力して取り組む事業転換を支援するものと考えられます。
次に、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金に関する予算が含まれる「生産性向上による成長促進」という項目も、21年度169億円(+中小機構交付金177億円)から236億円(同+182億円)へと大幅に予算アップします。
事業再構築補助金だけでなく、ものづくり補助金等の中小企業庁のメーンの補助金についても支援が強化される予定です。中小企業が研究機関と連携して行う製品・サービス開発を支援する「成長型中小企業等研究開発支援事業(サポイン事業)」も21年度109億円から162・6億円へと予算がアップしています。ほかにも、海外進出を支援する「JAPANブランド育成等支援事業」や展示会開催を支援する「展示会等のイベント産業高度化推進事業」等も引き続き公募される予定です。
環境・省エネ系の補助金も、億単位まで省エネ設備の導入を支援する「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」、ZEH/ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/ビル)の導入を支援する「住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業」等も引き続き公募していく予定です。
特に、電気自動車等の省エネ自動車の導入促進に力を入れており、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」が21年度予算155億円から334・9億円に拡充されます。また、太陽光発電の導入を促進するため「需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金」が新設される予定です。22年度は環境保護と経済成長を両立させるいわゆる「グリーン成長」にも力を入れていく予定です。
22年度も引き続き事業再構築補助金やものづくり補助金等の大型補助金が公募されていく予定です。来年度に大きな設備投資や新規事業を検討している方は、確実に採択されるために今のうちに事業計画の作成に着手しておきましょう。
-
株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
-
最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
記事をシェアする
こんな記事も読まれています
注目したいキーワード
最近の連載
- 注目の助成金(186)電気代削減に役立つ法人向けの空調補助金
- 注目の助成金(185)【東京都知事選】首長によって補助金の傾向が変わる?
- 注目の助成金(184)エアコン補助金を活用して電気代を節約しよう
- 注目の助成金(183)省力化投資補助金のベンダー登録について紹介
- 注目の助成金(182)4万円の定額減税、気になるポイントを紹介
- 注目の助成金(181)高齢労働者の労災防止に役立つ補助金
- 注目の助成金(180)事業再構築補助金第12回が公募開始
- 注目の助成金(179)自治体の家賃補助を活用しよう
- 注目の助成金(178)中小企業省力化投資補助金で汎用製品の導入を支援
- 注目の助成金(177)補助金で省エネ設備を導入しよう