注目の助成金(136)インボイス導入に活用できる補助金

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個人事業主やフリーランスなど収入が多くない事業者は、消費税の納税を免れる場合があります。しかし2023年10月から開始されるインボイス制度により、消費税を払う必要が生じる可能性があります。そこで今回はインボイス制度の詳細とインボイス制度の導入に活用できる補助金について紹介します。

現行では「前々事業年度における課税売上高が1千万円以下」または「創業したばかり」に該当する事業者であれば、「事業者免税点制度」という制度によって消費税の納税義務が免除されます。

なお、上記を満たす事業者でも「今年創業したが、資本金の額または出資の金額が1千万円以上である場合」、「特定期間における課税売上高または支払給与総額が1千万円を超える場合」のいずれかに当てはまる場合、対象外となります。特定期間とは、「個人事業者の前年の1月1日から6月30日までの期間」、「法人の前事業年度の開始の日から6ヵ月間」、「法人の前事業年度が7ヵ月以下である場合、前々事業年度の開始の日から6ヵ月間(前々事業年度が6ヵ月以下の場合は、その前々事業年度)」のいずれかに該当する期間を指します。

一方、「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」とは、買い手が売り手に対して正確な税率を記載した「適格請求書(インボイス)」を発行することで、売り手はその「インボイス」に書かれた税額を控除できるという制度です。

この「インボイス」を発行するには「インボイス発行事業者」として登録する必要があります。なお、その際に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者とならなければなりません。

つまり、消費税の免税対象となっていた事業者も「インボイス発行事業者」になれば、消費税の納税義務が発生します。

それならば「インボイス発行事業者にならなければいい」ということになりますが、「インボイス」交付ができなければ、売り手側はインボイスによる税額控除を受けられないことになります。そのため売り手側は税額控除ができる「インボイス発行事業者」である買い手側を選択する可能性があります。つまり消費税の免税事業者のままでいると顧客離れを招く恐れがあります。

政府としては事業者に正確な納税を促すため、また免税事業者に消費税の納税を促すため、インボイス制度を推進しています。その一環でインボイス制度の導入を支援する補助金を設けています。

小規模事業者の販路開拓を支援する小規模事業者持続化補助金では「インボイス枠」が設けられています。対象者は「21年9月30日から23年9月30日までの間で一度でも免税事業者であるか、または免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス発行事業者に登録した事業者」です。特に免税事業者が多い個人事業主・小規模事業者のインボイス制度導入を促すことが目的です。

「通常枠」が上限50万円であるのに対し、「インボイス枠」は上限100万円と増額されています。なお、今月2日に決定した経済産業省の22年度第2次補正予算によれば、今後は「インボイス枠」を終了し、「免税事業者からインボイス発行事業に転換する事業者」であれば、どの枠でも上限額に一律50万円が上乗せされるとのことです。つまり「通常枠」でも上限100万円を受給できることになります。

ITツール導入を支援するIT導入補助金でも、インボイス発行の手間を効率化する会計ソフト等の導入を推奨しています。たとえば、事業者のインボイス対応を支援する「デジタル化基盤導入枠」では、今後は補助下限額を撤廃し、より安価なソフトを導入できるようにして、収入が少ない免税事業者でもインボイス対応設備を導入しやすい体制を整えるとのことです。

インボイス制度にはメリット・デメリットがありますが、インボイス対応を行うのであれば上記補助金を活用してみましょう。

    株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
    東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
    最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
2022年12月20日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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