
住宅産業界にとって2015年という年は、16年10月1日に予定される、消費税率10%アップ(指定日)へ備える年だったといっても過言ではない。国会議員や政府首脳、官僚への活発な陳情・ロビー活動が、従来以上に繰り広げられた。それだけ、業界の危機感が大きかった証拠でもある。ただ、自公両党による平成28年度税制改正大綱には、戸建住宅業界を束ねる一般社団法人住宅生産団体連合会(住団連)が求めていた、「将来の税負担軽減策の検討」の一文が盛り込まれず終わった。
ある業界首脳は、6月の記者会見で、「(8%への税率アップ後)1年半苦しんだ後、ようやく薄日が差してきた。省エネ住宅ポイントやフラット35Sの優遇金利、生前贈与の制度拡充による」と表現した。しかし、実際の動きをみる限り新設住宅着工戸数や受注について、思いのほか鈍かったというのが実情。多くの企業で反動減の痛手からの回復の声は聞こえずじまいで、むしろ「依然として反動減に苦しんでいる状況」との見方は強かった。
こうした情勢を受けて、軽減税率を巡る消費税論議が活発化した10月に、一般社団法人住宅生産団体連合会(住団連)が、『住宅取得に対する恒久的な消費税負担軽減措置の創設』と題する要望を行った。増税分を後から還付する財務省案が白紙撤回され、負担軽減策として軽減税率が再浮上。軽減税率に慎重だった野田毅前会長が最高顧問に就き、宮沢洋一前経産相が新会長に就任するなど、自民党税制調査会幹部の大幅な入れ替えが行われた時期であったことも要因とみられる。