東京都都知事選が行われました(告示日6月20日、投票日7月7日)。候補者数は過去最多の56人でした。この56人のうちの1人が都知事に選ばれた訳ですが、誰が都知事になるかによって、東京都の補助金の状況は大きく変わります。その候補者自身の思想信条や支援している政党の性質によって、都政が左右されるためです。
首都における補助金の動向はその他の自治体にも影響を及ぼします。そのため、都外の事業者も動向を見る必要があります。また、都知事選は「誰が知事や市長になるかによってその自治体の補助金が大きく変わる」ということがよくわかる事例になります。そこで今回は、その候補者の主張や過去携わった国・自治体の政策などに基づき、「この人が都知事になると東京都の補助金はどうなるか?」について予想してみました(記事は都知事選前の1日に作成されたものです)。
まず、現職の小池百合子氏についてです。小池都知事は補助金に予算を非常に多く割く傾向にあります。助成金・補助金検索サイト「助成金なう」に登録された2023年度の東京都の補助金公募数は254件もあり、他の道府県と比べても圧倒的に多いのが特徴です。
「魅力ある職場づくり推進奨励金」など一定の制度を就業規則に盛り込めば受給できる助成金、プロジェクションマッピング事業を支援する補助金、太陽光発電設置を促す「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」など、多種多様な補助金が公募されてきました。また、0歳から18歳の子どもに月5千円程度の給付を行う「018サポート」、低所得世帯向けに1万円分の商品券を配布する「物価高騰対策臨時くらし応援事業」など、個人向けの給付金も多く実施する傾向にあります。補助金政策を重視する自民党・公明党が支援する方向性とのこともあり、再選した場合、引き続き多くの補助金が公募されていくと想定されます。
続いて蓮舫氏についてです。過去の施策で特に知られているのは、民主党政権時代の「2位じゃダメなんですか?」で有名な事業仕分けです。事業仕分けは「税金の無駄遣いを防ぎ、重要な財源を確保すること」を目的とした政策です。立憲民主党・共産党の統一候補と言うこともあり、都知事になった場合、東京都の各事業も「仕分け」され、補助金の数が大幅に下がる可能性があります。一方、「住民税非課税の多子世帯への家賃補助」や「私立高校の実質無償化の継続」などを掲げており、個人向けの給付金・補助金については拡充されていく可能性があります。
続いて石丸伸二氏についてです。元広島県安芸高田市長で、SNSを積極的に活用した情報配信で知られています。市長時代の主な政策としては、採算が合わない事業の整理・合理化が挙げられます。元々金融機関に勤めており、新しい事業を次々に打ち出すよりは財政再建の方を重視するタイプのようです。そのため、都知事になった場合、いくつかの補助事業が廃止される可能性があります。その一方、「産業創出」を主要公約として掲げており、特に教育分野での設備投資に重点を置くとしています。また、「都市開発」として23区とそれ以外の地域の格差是正も主張しており、それら関連の補助金が公募される可能性があります。
その他の候補者について、元航空幕僚長の田母神俊雄氏は「若年世代の都民税減税」、「出産時の大胆な給付金支給」などを主張していることから、小池百合子氏と同じく予算をふんだんに使った補助金・給付金施策を実施する可能性があります。タレントの清水国明氏は、防災対策に重点を置くとともに病児保育施設の増設や介護職員への助成も主張していることから、BCP、耐震、社会福祉関連の補助金が拡充される可能性があります。
このように、候補者によって補助金の状況が大きく変わっていきます。今回の都知事選だけでなく、お住いの自治体でも選挙がある際は、誰がどんな政策を掲げているか確認してみてから投票に臨むことをおすすめします。
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