子ども1人につき最大1万5千円を支給する「児童手当」について、所得制限の撤廃、支給対象年齢の18歳まで引き上げ、第3子以降の支給額倍増等の拡充がなされる予定です。なお、児童手当の他に、子どもがいる世帯に支給する給付金として「児童扶養手当」も存在します。今回は児童扶養手当について、児童手当と比較しつつ解説します。
児童手当と児童扶養手当は対象となる子育て世帯が異なります。児童手当(拡充前)は「中学校修了前(15歳到達後最初の3月31日)の子どもの養育者」、児童扶養手当は「18歳到達後最初の3月31日までの子ども(障害児の場合は20歳未満)を養育している母子・父子家庭等」が対象です。言い換えれば児童手当が「中学3年生までの子供を育てる父母」、児童扶養手当が「高校3年生までの子供を育てるシングルマザー・シングルファザー」が対象になります。
対象児童は「父または母が離婚した後、父または母のどちらかと生計を同じくしていない児童」「父または母が死亡した、もしくは生死不明である児童」「父または母が政令で定める程度の障害の状態にある児童」「父または母が引き続き1年以上遺棄している児童」「父または母が配偶者からの暴力により裁判所からの保護命令を受けている児童」「父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童」「婚姻によらないで生まれた児童」のいずれかとなりますなお、「児童が日本国内に住所を有しない」「児童が児童福祉施設に入所している」「里親に委託されている」、「父または母の配偶者に養育されている」と言った場合は対象外となります。
支給月額も児童手当と異なり、国民年金等と同じように全国消費者物価指数に合わせて支給額が随時改定されます。また、その世帯の児童数だけでなく、所得に応じて変動します。2023年4月以降の場合、児童1人目の場合は月額4万4140円(所得制限の場合は1万410円~4万4130円)、児童2人目は加算額1万420円(所得制限の場合は5210円~1万410円)、児童3人目以降は加算額6250円(所得制限の場合は3130円~6240円)が支給されます。
所得制限の基準は、2人世帯の場合、所得87万円以下(給与収入160万円程度)であれば全額が支給され、所得230万円(給与収入365万円程度)であれば一部が支給されます。支給するタイミングは1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回となり、支払い月の前月分までの手当が指定した口座へ振り込まれます。
なお、「児童扶養手当の支給開始月から5年を経過した場合(手当が認定された時、児童が3歳未満であった場合は、児童が3歳に達した日の属する月の翌月の初日から5年)」、または「支給要件に該当した月(離婚や死別等)から7年を経過した場合」は、手当額の2分の1が支給停止されます。ただし、受給者(児童の親等)が、「就業している」「求職活動や自立を図るための活動をしている」、「身体上または精神上の障がいがある」「負傷または疾病などにより就業することが困難である」等、児童の養育が難しい状況である場合、支給停止が免除されます。
申請するには「戸籍謄本」「本人名義の預金通帳」「印鑑」「健康保険証」「年金手帳」「個人番号カード(本人、対象児童、扶養義務者等)」が必要です。市町村に申請して受理されれば、手当は申請した月の翌月分から支給開始します。
児童扶養手当は児童手当と異なり、毎年8月に現況届の提出が必要です。現況届とは、引き続き支給要件に該当しているか、児童の養育状況等を確認するための書類です。自治体によってはオンライン申請も可能です。児童扶養手当受給世帯は、給付金や公的制度の料金割引等の優遇を受けられる場合があります。各自治体で実施している子供1人5万円の低所得子育て世帯向け給付金も原則対象となります。また、JRの通勤定期乗車券を割引購入できたり、水道料金の一部が免除されたりする場合もあります。
離婚や障害等の理由で子育てが難しいと感じている方は児童扶養手当の支給要件に該当するか確認し、自治体でどのような支援が行われているか確認しましょう。
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