新型コロナの影響により、多くの事業者が経済的ダメージを負っています。会社の倒産や解雇等によって失業を余儀なくされ、最低限度の生活を送ることすらままならなくなっている方も増えています。各自治体では、失業や休業により収入が激減した方に対して、家賃の一部を補助する「住居確保給付金」を支給しています。7月14日から公募を開始した経済産業省の「家賃支援給付金」が事業者向けであるのに対し、「住居確保給付金」は個人向けとなります。今回はこの住居確保給付金について解説します。
対象物件は個人が生活するのに利用している住居です。店舗や事務所等は対象外です。住居でも、借主が法人名義の場合は対象となりません。
事務所兼住宅の場合は、賃借契約書の住居部分のみが対象になります。契約書で住居部分と事務所部分の区分がされていない場合でも、面積按分を行って住居部分を算出すれば問題ありません。
給付対象は、その世帯の内で主に生計を立てている方が「離職・廃業してから2年以内」か、「やむを得ない理由(会社の責による休業等)により収入を得る機会が離職・廃業程度まで減少している」ことです。自宅で仕事を行う自営業者やフリーランスも対象ですが、一人暮らしの学生は原則対象外です。
また、申請日の属する月における世帯収入の合計、及び申請日における世帯の預貯金合計額が市区町村ごとに定める基準額を下回る必要もあります。たとえば東京都特別区の場合、世帯収入の合計は「単身世帯13・8万円」、「2人世帯19・4万円」、「3人世帯24・1万円」、世帯の預貯金合計額は「単身世帯50・4万円」、「2人世帯78万円」、「3人世帯100万円」を下回らなければなりません。
「世帯」の定義は「同居し生計を同じくしていること」であるため、上京中の息子・別居中の妻の収入は含まれませんが、同居中の内縁の妻の収入は含まれます。また、一律10万円の特別定額給付金等新型コロナ関連の給付金・融資は収入に含めません。自治体の支援がなくても生活できるよう誠実かつ熱心に求職活動をすることも要件となります。
支給額は市区町村及び世帯人数によって異なります。たとえば東京都特別区の場合、「単身世帯5万3700円」、「2人世帯6万4千円」、「3人世帯6万9800円」が支給されます。給付金は申請者の口座ではなく、住宅の貸主(大家や不動産管理会社)の口座へ直接振り込まれます。
支給期間は原則3ヵ月ですが、求職活動を誠実に行っていると認められた場合、3ヵ月分の延長が2回まで可能です。つまり最長で9ヵ月分の家賃補助がなされます(東京都特別区の場合、6万9800円×9ヵ月=62万8200円が最大補助額)。なお、支給額には敷金や共益費、駐車場代は含まれません。
申請は自治体やNPO法人等が運営する「生活困窮者自立相談支援機関」で、相談・申請する必要があります。この機関が申請者に代わって自治体に申請書を送り、申請書を受理した自治体が申請者の住宅の貸主に支給するという流れになります。
申請時には、運転免許証等の本人確認書類、申請者の給与明細等収入と各種控除額が確認できる書類、申請者及び同居者の通帳の写し等預貯金が確認できる書類、そして離職票・シフト表等、離職・廃業・就労機会の減少が確認できる書類を提出します。
住居確保給付金のように、個人向けの新型コロナ関連支援は各省庁・各自治体で公募されています。新型コロナの影響を受け苦しい生活を強いられている方は是非これらの支援を積極活用することをおすすめします。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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