注目の助成金(45)申請の必要書類!賃金台帳提出時の注意点

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キャリアアップ助成金などの厚生労働省の助成金申請は、管轄労働局の審査を経て正式に支給決定がなされます。支給申請書一式を提出する際、ほとんどの助成金は「賃金台帳」の提出が求められます。対象労働者にきちんと所定の賃金を支払っているかを見るためです。今回はこの賃金台帳を提出する際の注意点について解説します。

(1)賃金台帳を印刷する日付に注意

賃金台帳は「賃金の支給日前ではなく支給日後に印刷したもの」が求められます。賃金の支払いが「15日締め/当月25日払い」である事業所があるとします。つまり15日で締めて給料を計算し、25日になったら賃金を支払います。

その途中の20日頃に計算が終わり、その時点で賃金台帳を印刷して労働局へ提出するとします。もちろん、その賃金台帳に嘘がなければ問題はありません。しかし、25日の支給日までに計算が変わってしまう可能性もあります。そのため、支給日以後の日付で印刷された賃金台帳が必要なのです。

しかし、給与確定の日に賃金台帳を印刷してしまう給与ソフトも多く、賃金台帳では「支給日後の印刷」という要件を満たせない場合もあります。その場合は、その金額を対象労働者にきちんと支払ったことを証明できる書類があれば問題ありません。本人の通帳のコピーもその一つです。周囲の関係ない部分は隠してコピーをもらうという方法もあります。それ以外にも、インターネットからの振込みであれば、その振込結果を印刷して、賃金台帳と金額が一致することを確認するという方法もあります。

この振込結果ですが、対象経費の一部を助成する「経費補填型の助成金」では、提出を求められる可能性が高いのです。「2月29日振込予定」と書かれた振込予定の明細を「2月15日」の日付で印刷した場合、賃金台帳と振込結果の一致を求められる傾向があります。

ただし、会計ソフトや振込結果の印刷は、一定の区切りの期間を過ぎると印刷できなくなる場合があります。時期がしばらく経ってから労働局から再提出を求められる場合も多いので、証拠となる書類関係はすべて紙ベースで保管しておくことをおすすめします。

(2)割増賃金の計算に注意

賃金台帳には、(1)氏名(2)性別(3)賃金計算期間(4)労働日数(5)労働時間数(6)時間外・深夜・休日労働時間数(7)基本給・手当等の種類と額(8)賃金――からの控除額を記載しなければなりません。

その中でも特に気を付けるべきことは、計算を間違えやすい割増賃金の記載です。計算を誤って本来支払うべき賃金が不足していることが発覚すると、助成金を申請できなくなるばかりか、労働法違反として書類送検される危険性もあります。

そこで、割増賃金の計算方法について簡単にご紹介します。

割増率は以下の4パターンに分かれます。

(1)残業60時間以下=25%以上
(2)残業60時間超え=50%以上(※中小企業主は2023年3月31日から)
(3)休日労働=35%以上
(4)深夜労働(原則午後10時~午前5時)=25%以上

月給が支払われている労働者の場合、通常の労働時間における賃金(時給)は以下のように計算できます。

月給÷月における所定労働時間数(※月によって所定労働時間が異なる場合は、年間の1ヵ月平均所定労働時間数)

上記の計算で導き出された時間給が1千円の場合、残業や休日労働などにおける賃金は以下となります。

(1)残業月60時間以下or深夜労働=25%以上(1250円以上)
(2)休日労働=35%以上(1350円以上)
(3)残業月60時間超or残業月60時間以下+深夜労働=50%以上(1500円以上)
(4)休日労働+深夜労働=60%以上(1600円以上)
(5)残業月60時間超+深夜労働=75%以上(1750円以上)

使用者の方は労働者の残業時間や休日労働時間などをしっかり管理して、正しい額の賃金を支払わなければなりません。また、労働者の方は自身の賃金がきちんと支払われているか、給与明細などをチェックしてみることをおすすめします。

    株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
    東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
    最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
2020年02月27日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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