7月31日、厚生労働省の中央最低賃金審議会より今年の最低賃金の目安が発表されました。これによると、最低賃金は全国平均901円となります。
前年度比27円増で、過去最大の引き上げです。また、全国平均が900円を突破するのは今年度が初めてです。都道府県別の最低賃金も軒並み大幅上昇し、特に東京都(1013円)と神奈川県(1011円)に至っては1千円を突破しました。今年も例年通り10月頃にこの都道府県別の最低賃金に変更される予定です。従業員の最低賃金がこの基準に満たない企業は、それまでに賃金を引き上げる必要があります。
経営者には頭痛の種?
最低賃金の引き上げは、労働者には喜ばしいことですが、企業にとってはその分人件費が増すので悩ましいことです。特に中小企業や小規模事業者は人件費の増加によって経営が悪化する危険性が高く、今年度の最低賃金の大幅上昇に頭を抱える経営者も少なくないでしょう。
そんな悩める中小企業や小規模事業者のために公募されているのが厚生労働省の「業務改善助成金」です。この助成金は事業場内の最低賃金を引き上げた中小企業などに対して、生産性向上のための設備投資費用などの一部を助成します。
「業務改善」と名がつく通り、中小企業が設備導入などによる生産性向上を図り、経営を安定させることで、従業員の賃金をアップする余裕を生み出す狙いがあります。
この助成金は過去に業務改善助成金を受給したことのある企業でも申請することができます。また、設備導入費用の他に人材育成・教育訓練費や経営コンサルティング経費も助成対象経費とすることができます。
たとえば、「食料品小売業がPOSレジシステムを導入して在庫管理を短縮」「理美容業が移動式の理美容車を導入」「従業員のスキルアップのための外部研修」といった導入事例が考えられます。
助成対象者は事業場内の最低賃金1千円未満の中小企業・小規模事業者です。設備や機器を導入して、事業場内の最低賃金を30円以上引き上げなければ受給することはできません。
助成率は原則7/10(生産性要件を満たせば3/4)ですが、常時使用する労働者が30人以下の場合は3/4(生産性要件を満たせば4/5)になります。また、助成上限額は最低賃金引き上げ額と引き上げ対象の労働者数によって変わり、50~100万円が支給されます。
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