
大和ハウス工業(大阪市北区、大友浩嗣社長)と東京大学(東京都文京区、藤井輝夫総長)は9月29日、現代の住宅や都市の再生にまつわるさまざまな課題の解決に向けた研究を行う「東京大学住宅都市再生研究センター」を新設すると発表した。
1日に発足した同センターの責任者は、小泉秀樹東京大学大学院教授が務める。少子高齢化や気候変動、AIやITなどの先端情報技術の進展によるライフスタイルの転換など、さまざまな角度から住宅団地や都市の再生に関する課題を捉え、企業サービスや社会制度の変更、政策提案などによる解決を目指す。
まずは大和ハウス工業が約10年前に着手した郊外型戸建住宅団地再生の取り組みを研究し、同様の課題を抱える他の住宅団地への水平展開の可能性を探る。小泉教授は「住宅・都市再生の課題は世界共通の課題となりつつあり、とりわけ日本は課題先進国。センターで得た知見の海外展開も視野に入れたい」とした。
住宅都市再生研究センターは、現代の住宅・都市再生が抱える諸課題の解決に向けた研究を行う東京大学の研究組織。設立にあたり、大和ハウス工業は東京大学に10億円を寄付、東京大学は寄付を大学独自基金(エンダウメント)として運用し、その運用益を同センターの運営などに充てる。
このようなエンダウメント型研究組織は東京大学では2例目という。
一般的な寄付講座は開設期間が定められているが、エンダウメント型は長期にわたり自律的かつ安定的な研究が可能。住宅・都市再生のような幅広い分野・事業領域を対象に、長期的な研究を行う組織運営に最適な研究基盤となる。