児童手当とは、子供を養育する世帯に対して子供1人につき最大1万5千円を支給する制度です。この児童手当について、政府は2024年10月に拡充を実施すると発表しました。
以前児童手当の現行の要件についてご紹介しました(連載141回)が、今回は拡充後の要件について、現行とどう変わるのかを比較しながら解説します。
児童手当の支給対象となる児童は、現行では中学3年生まで(厳密には、15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)となります。24年10月の拡充後では、高校3年生まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)が対象となります。高校に行かずに働いている児童については、親と同じ世帯に所属し、かつ親が面倒を見ていれば、支給対象とする予定です。なお、生計が独立している児童については対象外になると見込まれます。
現行の支給額は、3歳未満の場合は一律1万5千円、3歳以上小学校卒業までの支給額は1万円となります。なお、第3子以降は1万5千円に上昇します。また、中学生の場合、第3子以降でも一律1万円となります。
24年10月の拡充後では、高校生の児童に対しても月1万円が支給されます。また、第3子以降の支給額が1万5千円から3万円へ倍増されます。この第3子以降の増額は中学生・高校生の児童にも適用されるとのことです。「第3子」は「18歳の誕生日後の最初の3月31日まで養育している児童の内の3番目」となります。たとえば、長男(18歳)・次男(17歳)・三男(15歳)がいる世帯の場合、長男1万円、次男1万円、三男3万円が支給されます。
しかし翌年になると長男が19歳になり、「児童」でなくなります。すると、その年の支給額は長男0円、次男1万円、三男1万円となります。こうした制度上の都合から中学生・高校生が第3子として月3万円が支給されるケースは少ないと予想されます。
所得が一定基準を超えた世帯については、現行では児童1人につき月額一律5千円の特例給付が支給されます。この所得制限の基準は、前年12月31日時点での扶養親族の数によって異なります。
所得がさらに一定の基準を超えた場合、特例給付すら支給されなくなります。所得は夫婦どちらか高い方の前年の収入で判断されます。また、扶養親族は扶養している子ども・親、年収103万円以下の配偶者が含まれます。
拡充後ではこの所得制限が撤廃されるとのことです。つまり、年収1億円の世帯でも児童1人につき最大3万円の児童手当が支給される場合があることになります。
児童手当の支給時期は毎年6月、10月、2月となり、それぞれの前月分までの手当を支給します。そのため、拡充自体は24年10月に実施されますが、拡充分の支給は25年2月からになると想定されます。
この児童手当の拡充によって、子育て世帯の収入が増えるように見えます。しかし、扶養控除の廃止案が出ており、実際に廃止された場合、世帯収入によっては児童手当の増加分よりも負担が増える恐れがあるといわれています。
政府は児童手当の拡充の他にもさまざまな子育て支援策を実施していく予定です。また、各自治体でも独自の子育て支援策が実施されています。子供がいる方、または出産予定の方はお住いの自治体でどのような子育て支援が行われているかHPで確認してみましょう。
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