注目の助成金(143)事業再構築補助金、不採択の理由は

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事業再構築補助金で最も多い不採択理由は「書類不備」です。完璧な事業計画を策定しても、書類不備と判断されれば不採択となります。今回は書類不備を防ぐためのポイントについて解説します。

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事業再構築補助金の審査で見られるポイントは「様式に沿った書類を用意しているか?」です。たとえば、「指定していないフォーマットで書類提出をする」「社名を入れていない」「金額記載がない」等、様式に沿っていない場合は不採択となります。

書類不備で特に多いのは売上減少に関する書類です。売上減少要件を満たすことを証明するには(1)確定申告書別表一の控え(1枚)(2)法人概況説明書の控え(両面)、(3)受信通知(e-Taxで申告している場合)が最低限必要です。
上記書類は売上が下がる前と下がった後のものがどちらも必要です。しかし、どちらか一方が欠けてしまっているケースが多いです。売上減少として選択された年月とは異なる年月の書類が添付されていることもあります。確定申告が済んでいない場合は、売上台帳またはそれに相当する書類(試算表、帳面等)を代わりに提出しなければなりません。

次に多いのが「認定経営革新等支援機関」に関する書類不備です。事業再構築補助金では「認定経営革新等支援機関」と言う国指定の支援機関による申請サポートが必須です。そのサポートを受けた証明書として、「認定経営革新等支援機関による確認書」と言う書類を提出しなければなりません。しかし、「確認書に記載された法人名等が申請者と異なる」「支援機関ではなく申請者名で確認書が作成されている」と言ったミスが散見されます。

支援機関も書類ミスをする場合があります。任せきりにせず自身の目で確認しておきましょう。

事業再構築補助金では「経済産業省ミラサポplus」というサイトにGビズIDでログインし、事業財務情報を入力した上で、そのページを提出する必要があります。この「ミラサポplus」の存在を忘れる事業者も多いとのことです。また、提出した事業財務情報に必要な金額が入力されてないことも多いです。「賃借対照表」等を確認して、必要な金額を入力してから提出するよう心がけてください。

「添付された書類にパスワードがかかっている」「ファイルが破損している」等、提出書類の中身を確認できないケースもよくみられます。書類を提出する前に、ファイルが審査員も確認できるようになっているかチェックしておきましょう。

上記に気を付けて必要書類をすべて揃え、かつ事業計画の内容が良くても、不採択になる場合があります。

それは誤字脱字が多いためです。どんなに魅力がある事業計画でも誤字脱字が多ければ、事務局の心証が悪くなり、不採択とされる恐れがあります。ダブルチェックを徹底しましょう。

また、事業計画の書き方にも注意が必要です。文章そのものがわかりにくい書類はNGです。「一文がやたら長い」「難解な業界用語・専門用語を多用する」等、意味がストレートに通じない文章は審査を受ける上で非常に不利となります。その一方、文章が短すぎるもの、一目で内容が薄いと感じられるものも本気度を疑われます。

事業計画はA4で最大15ページ書く必要があり、分量にして1万5千~2万文字程度あります。そのため、「事業計画の2ページと9ページの内容が矛盾している」といった整合性に欠けるミスが散見されます。

なるべく短いセンテンス、平易な表現で簡潔かつ適量の記述にして、要素が多い場合は箇条書きを上手に使いましょう。どうしても他の言葉で表現できない専門用語は注釈をつける等の工夫も必要です。文章を書くのが苦手であれば、ライティングが得意な社員に頼むか、中小企業診断士等の専門家に書き方のアドバイスを仰ぎましょう。

事業計画に写真・図表・数字がないのも原則NGです。事業の具体性を把握するには詳細な数字のデータが不可欠です。店舗の立地場所や新製品の形状等の視覚情報については、一目で分かってもらえるよう写真をつけましょう。写真はモノクロよりカラーのほうが望ましいことは言うまでもありません。事業計画にURLを貼り付け、関連資料をURLで参照させるというのも避けるべきです。事務局のセキュリティ上、ネットワーク外部に接続できない場合があります。

事業再構築補助金は原則提出書類のみで審査されます。書面上ですべてをキチンと伝えられるようにまとめておきましょう。審査する側が「パッと読んでスッとわかる」表現を心がることが大切です。

2023年03月14日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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