補助金を申請しても不採択となる理由で最も多いのが「書類不備」です。事業内容は完璧なのに「書類不備」というケアレスミスにより不採択になるのは非常にもったいないことです。そこで今回は「書類不備にならないよう特にどこに注意すべきか」について解説します。
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まず注意しなければならないのは、揃えるべき書類がそもそも揃っていないことです。ほとんどの補助金の公募要領では、申請に必要な書類一覧が記載されており、その一覧に沿って書類を揃えていくことになります。
とても簡単なようにみえますが、そのために油断して「履歴事項全部証明書」や「納税証明書」といった書類の用意をうっかり忘れていたという場合もあります。特に「納税証明書」などは取得に時間がかかるため、直前で用意していなかったことに気付いても申請に間に合わない恐れがあります。
他にも、インターネットではなく郵送で申請するパターンの補助金で特に注意すべきことですが、「せっかく書類を全部揃えたのに、書類の一部を封筒に入れ忘れたまま送ってしまった」というケースもありがちです。とにかく書類が本当に揃っているか随時チェックしておくことをおすすめします。
また、「全事業者が必ず用意すべき書類」ではなく「特定の条件に合致する事業者のみが用意すべき書類」にも注意が必要です。前者をきちんと揃えても、後者をうっかり見逃してしまう場合もあります。
たとえば、東京都中小企業振興公社の助成金では、履歴事項全部証明書や会社ホームページなどで事業実施場所がわからない場合、その場所の営業許可証や賃貸契約書の提出が求められますが、それを失念してしまうと「書類不備」扱いで不採択となる恐れがあります。また、補助金によっては、小規模事業者であれば中小企業よりも高い補助率で補助するものがありますが、その小規模事業者である証跡の提出を忘れてしまうケースもあります。一見関係なさそうでも、公募要領に記載された提出書類一覧はすべて目を通しておくことをおすすめします。
次に注意すべきは、「揃えた書類が要件を満たしていないこと」または「書類が異なっていること」です。たとえば、「履歴事項全部証明書」の要件が「申請日から3ヵ月前」となっているのに6ヵ月前に取得したものだったり、「見積書」の要件が「申請日時点で有効なもの」となっているのに有効期限が過ぎていたりすると「書類不備」扱いされます。また、「地方税である法人事業税の納税証明書」の提出が求められているのに、誤って「国税である法人税の納税証明書」を提出してしまうケースもあります。他にも「100万円以上の見積は相見積が必要」と書かれているのに、相見積の用意を忘れているケースも散見されます。
公募要領の提出書類一覧には、その書類が満たすべき要件も記載されています。その要件をよく確認した上で、書類を取得する必要があります。
その他にありがちなミスとして、提出書類をZipファイルでまとめる際、顧客に納品物を納品する時と同じ調子でパスワードをかけてしまうことです。ほとんどの補助金では提出書類にパスワードをかけることは求められていません。たとえ解凍パスワードを送ったとしても、「書類不備」にされる恐れがあります。
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ここで記載した項目はとても初歩的な内容です。しかし、補助金を申請する際には特に細心の注意を払わなければなりません。書類を用意・提出する担当者を1人だけにするのではなく、可能な限り複数の担当者で書類不備がないか確認する体制にすることをおすすめします。人員的に難しいのであれば、中小企業診断士などの専門家に確認してもらうこともおすすめです。
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