注目の助成金(131)『イクメン助成金』は要件が大幅変更

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厚生労働省の両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は男性労働者が一定期間の育児休業を取得した場合、一定額を支給する「イクメン助成金」として大変人気です。

しかし、2022年度からは助成対象者や助成額が大幅変更されました。今回は22年度の両立支援等助成金(出生時両立支援コース)について解説します。

まず対象者ですが、中小企業のみとなります。前年度までは大企業も申請ができました。大企業に比べて中小企業の男性労働者の育休取得率は低い傾向にあるため、中小企業の育児休業の体制を整えることを重点的に推し進めることを目的にしたと考えられます。

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性労働者が育休取得した場合に受給できる「第1種」と、「第1種」受給後の男性労働者の育休取得率が一定以上上昇した場合に受給できる「第2種」に分かれます。

まず「第1種」を受給するためには、対象の男性労働者が育休取得する前に、育休取得しやすくするための雇用環境整備(育児休業に係る研修、相談体制の整備、育休制度に関する周知等)を行う必要があります。また、男性労働者が育休を取得しやすくするための「一般事業主行動計画」を策定し、労働局に届け出する必要があります。

その上で、男性労働者が出生後8週間以内(子の出生日を含む57日間)に連続5日以上の育休を取得させます。なお、休業期間の内4日以上は所定労働日である必要があります。

そして育休終了日の翌日から起算して2ヵ月以内に支給申請すれば、定額20万円が支給されます。なお、1事業主につき1回限りとなります。

続いて「第2種」ですが、「第1種」を申請した事業年度の翌事業年度を含む3事業年度以内に男性労働者の育休取得率30%以上を達成した場合、助成金が支給されます。「第1種」を申請した年度の翌事業年度で育休取得率30%以上を達成すれば60万円、その翌事業年度であれば40万円、さらに翌事業年度であれば20万円が支給されます。

「第1種」の対象となった男性労働者の他に、「第1種」の申請以降少なくとも1日以上の育休取得した男性労働者が2名以上いることも必須となります。育児休業取得率は「育児休業を取得した労働者数」を「本人または配偶者が出産した労働者数」で割った数で表されます。育休取得した男性労働者は少なくとも3名以上必要ですが、「第1種」を申請した年度の翌事業年度で2名の男性労働者の配偶者が出産して育休を取得すれば、「第2種」の申請要件を満たすことになります。

「第2種」の申請要件を満たした場合、その事業年度の翌事業年度の開始日から起算して6ヵ月以内に支給申請を行います。

前年度の両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性労働者1名が育児休業をすれば原則57万円(大企業は28万5千円)を受給できました。22年度からは大企業が対象外となり、育児休業をしても20万円しか支給されません。しかし、「第2種」も申請すれば、「第1種」と合わせて最大80万円を受給できる可能性があります。「第2種」の支給要件はやや厳しいですが、可能であれば申請を検討してみてください。

2022年10月04日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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