厚生労働省のキャリアアップ助成金とは、アルバイトを正社員に転換するなど非正規雇用労働者のキャリアアップに取り組んだ事業主に一定額を支給する大人気の助成金です。2021年度では、支給要件の変更や新たなコースの追加など、内容に変化がありました。そこで今回はキャリアアップ助成金の変更点についてご紹介します。
まず、最も取り組みやすく人気が高い正社員化コースですが、支給要件が変更されました。
正社員化コースは有期雇用の従業員を正規雇用の正社員に転換すると、1人当たり57万円(42万7500円)支給されます(カッコ内は中小企業以外)。また、有期→無期、または無期→正規の場合28万5千円(21万3750円)となり、1年度1事業所当たり20人まで適用されます。
以前の支給要件では転換前後6ヵ月間の賃金を比較して、5%以上増額していることが必須要件となっていました。しかし、今年度から3%以上増額していればよいということに変更されました。
ただし、その賃金について、前回は賞与を含めてもよいということになっていたのに対し、今回は賞与を含めないこととなっています。つまり賞与を支払っている事業主の場合、今回の3%要件の方が、対象従業員により多額の賃金を払わなければならない可能性があります。事前にどの程度賃金を上げる必要があるか確認しておきましょう。
また、事業主が中小企業の場合、「(1)派遣先で派遣労働者を正社員として直接雇用する(28万5千円)」「(2)母子・父子家庭の親を転換する(9万5千円)」「(3)35歳未満の従業員を転換する(9万5万円)」「(4)勤務地・職務限定正社員として転換する(9万5千円)」という加算措置がありましたが、今年度から(3)の加算措置が廃止されます。また、(4)の対象正社員として短時間正社員も追加されます。
さらに、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、対象労働者として、「20年1月24日以降に新型コロナウイルス感染症の影響により離職した労働者」も追加されました。ただし、「就労経験のない職業に就くことを希望する」「紹介予定派遣により2ヵ月以上6ヵ月未満継続して労働する」「派遣期間中に派遣元によるOFF―JTを8時間以上実施する」「2月5日から22年3月31日までに正社員転換する」という条件があります。
なお、新型コロナウイルスの影響で休業したため支給申請ができない等の事態が発生した場合、その理由を記した書面を提出すれば申請することができます。
次に、今年度より新設された障害者正社員化コースについて紹介します。こちらは障害を抱えた有期・無期雇用労働者を6ヵ月以上継続雇用し、正規雇用労働者等に転換後も6ヵ月以上継続雇用した場合に支給されるものです。
元々は障害者雇用安定助成金という助成金のコースでしたが、当該助成金の廃止に伴い、キャリアアップ助成金の1コースとして移管されました。
障害の状態によって助成額は変わり、6ヵ月(1期)継続雇用するごとに、最大1年間(2期)、定額支給されます。重度の身体・知的・精神障害者の場合、有期→正規60万円×2期(45万円×2期)、有期→無期または無期→正規30万円×2期(22万5千円×2期)が支給されます。重度以外の障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者については、有期→正規45万円×2期(1期33万5千円、2期34万円)、有期→無期または無期→正規22万5千円(16万5千円)が支給されます。
なお、対象労働者が就労継続支援A型事業における利用者の場合、対象外となります。また、正社員化コースと異なり正社員転換後の賃金3%増額要件はありませんが、転換前6ヵ月と比べて減額していないことが必要です。
キャリアアップ助成金(正社員化コース及び障害者正社員化コース)は「バイトを正社員にする」というシンプルな建付けのため、助成金初心者でも大変取り組みやすい助成金です。正社員の登用を検討している方は是非チャレンジしてみてください。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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