2020年5月27日、新型コロナ対策のための第2次補正予算が閣議決定されました。その予算で既存の補助金を拡充したり新設の補助金を設けたりするとのことです。そこで今回は第2次補正予算に基づく新型コロナ対策補助金の最新情報について解説します。(※6月4日時点での情報です)
(1)家賃支援給付金の新設
新型コロナによる不景気の中、経営体力がない中小企業にとって家賃等の固定費は大きな負担となります。そこで売上が激減した企業に対して最大600万円の家賃補助を行う「家賃支援給付金」が新設されました。飲食店や小売店だけでなくオフィスの賃料も対象となります。予算も2兆242億円に上り、今回の補正予算の中でも特に重点が置かれた施策と言えます。
給付対象者は中小企業、小規模事業者、個人事業者等です。ただし、2020年5月~12月において、(1)1ヵ月の売上高が前年同月比で50%以上減少(2)連続する3ヵ月の売上高が前年同期比で30%以上減少――のいずれかに該当する必要があります。
給付率は3分の2で、給付上限額(月額)は法人50万円、個人事業者25万円、給付月数は6ヵ月分となります。「複数店舗を所有する」等の理由で家賃の総支払い額が大きい場合は、上限額(月額)が法人100万円、個人事業者50万円に引き上げられます。ただし、通常の給付上限額を超えた額の給付率は3分の1となります。
公募開始時期は6月下旬を予定しており、原則オンライン申請です。給付金が支払われるのは7月以降になります。ただし、家賃の契約書等提出書類が多いため、申請してから2週間程度で給付される「持続化給付金」より給付が遅くなる見込みです。
(2)持続化給付金の対応強化
売上が前年同月比50%以上減少した企業に対して最大200万円を給付する「持続化給付金」ですが、予算を1兆9400億円まで積み増しして、より多くの企業に給付することになりました。
持続化給付金は「(前年の総売上)-(前年同月比▲50%月の売上×12ヵ月)」の金額を給付し、中小企業だけでなくフリーランスや非営利団体など対象者が幅広く、使用目的も制限がありません。オンライン申請が苦手な方向けの「申請サポート会場」も随時追加されています。まだ申請されていない方はお早めに申請することをおすすめします。
(3)3大補助金の補助率を引き上げ
中小企業庁の中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金)の補助率が引き上げられます。
新型コロナ対策のための特別枠として既に設けられていた「類型A:サプライチェーンの毀損への対応」「類型B:非対面型ビジネスモデルへの転換」「類型C:テレワーク環境の整備」のうち、類型Bと類型Cの補助率が3分の2から4分の3に変わります。
さらに、ものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金では「事業再開枠」という別枠も新設されます。感染防止対策の取組に対し、最大50万円(補助率10/10)を上乗せ支給されます。ライブハウスやナイトクラブ等クラスター対策が必要な業種に対してはさらに50万円が加算されます。なお、事業再開枠の補助額は全体の補助額の2分の1以下にする必要があります。
(4)特別貸付融資をさらに拡充
前回ご紹介した無担保・実質無利子の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」ですが、予算が5兆5683億円と大幅に計上され、貸付限度額も引き上げられます。
拡充前は貸付限度額が3億円でしたが、今回から2倍の6億円になります。利下限度額も1億円から2億円に引き上げられます。そして、一定の条件を満たした場合に利子補給することで実質無利子となる特別利子補給制度も設けられる予定です。
上記以外でも中小企業・小規模事業者向けの経営相談体制を強化する等、これまで以上に新型コロナで経済ダメージを受けた企業の支援が行われます。新型コロナによる大型不景気を乗り切るためには、これらの制度を積極的に活用していくことをおすすめします。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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