2019年12月24日、経済産業省が補助金の電子申請ができる「Jグランツ」を開発したとの発表がありました。今後は、補助金申請の負担が大幅に軽減されるかもしれません。
今まで、ものづくり補助金など多くの補助金は書類での申請が必須となっていました。そのため、申請の際に大量の書類を用意した上で指定の事務局に提出しなければなりませんでした。この煩雑な作業のために多くの事業者が忌避して、中小企業の補助金活用が遅れてしまった現状があります。そこで、より多くの中小企業に申請してもらうよう、申請手続きが簡単な電子申請システム「Jグランツ」が登場したのです。
「Jグランツ」で補助金申請の負担を軽減
Jグランツはパソコンやタブレットがあれば時間や場所を問わず申請が可能となり、提出先に行くための交通費や書類の郵送費などのコストが削減されます。また、行政サービスにログインできる「GビズID」を用いれば、過去に補助金申請した情報が自動転記され、書類の押印代わりにもなります。
「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」の3大補助金はもちろんのこと、「事業承継補助金」など、計27の補助金がJグランツの対象となる予定です。
システム環境や情報セキュリティの整備、自治体や他省庁との連携、事業者のITリテラシー格差などの課題はありますが、今後はこのJグランツを通じた補助金申請が主流となってくるため、電子申請に不慣れな方は今のうちにJグランツによる申請方法を確認しておくことをおすすめします。
20年度に補助金採択が厳しくなる3つの理由
電子申請の普及により補助金申請は飛躍的に楽になります。しかし、だからと言って補助金が採択されやすくなるとは限りません。その理由は以下3点となります。
第1の理由は補助金の予算が倍増したことです。19年12月13日、経済産業省の19年度補正予算が公表されました。それによると、「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」を一つにまとめた「中小企業生産性革命推進事業」の予算は3600億円となります。前年度の18年度第2次補正予算の1100億円から3倍以上アップしました。19年度の補正予算がいかに3大補助金に重点を置いているかが分かります。各補助金の予算配分は不明ですが、相当な額が組み込まれていることが容易に想像できます。予算が大幅拡大したのであれば、補助金申請は採択されやすくなるようにみえます。しかし予算が増えればその分申請者も増加します。電子申請の普及も申請者の増加に拍車をかけ、競争率は高くなることが予想されます。
第2に、申請の締切回数を増やすことで通年公募できるようになりました。通年公募によって、申請者を増やすだけでなく、申請や事業実施の準備を万端にさせる狙いがあります。
第3に、過去3年以内に同じ補助金を受給している事業者は減点となります。補助金申請ではどうしても申請経験が豊富な事業者の方が、申請書の質が高く採択されやすくなります。そのため、申請経験がない新規の事業者でも補助金を活用できるようにするため、このような措置が取られました。
20年度以降は、これまで申請していなかった事業者も補助金を活用してもらうことで、中小企業全体の生産性を向上させたいという経済産業省及び中小企業庁の狙いがあります。競争率は高くなりますが、申請のハードルは低くなります。補助金申請に消極的だった方もこれを機会に補助金の活用を検討してみることをおすすめします。
-
株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
-
最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
記事をシェアする
こんな記事も読まれています
この記事のキーワード
最近の連載
- 注目の助成金(194)「常時使用」と「常時雇用」の違い
- 注目の助成金(193)採択されてもすぐには入金されない!つなぎの資金を確保しよう
- 注目の助成金(192)助成金申請で必須!雇用保険とは
- 注目の助成金(191)補助金申請時に提出が必要な2つの書類
- 注目の助成金(190)「みなし大企業」の定義とは
- 注目の助成金(189)本当に中小企業ですか?大企業との違いとは
- 注目の助成金(188)申請時に提出必須!補助金における見積書のルールとは
- 注目の助成金(187)ZEHの集合住宅の新築を支援
- 注目の助成金(186)電気代削減に役立つ法人向けの空調補助金
- 注目の助成金(185)【東京都知事選】首長によって補助金の傾向が変わる?