では、地域工務店が施工する戸建住宅の省エネ性能の傾向は、実態としてどうなっているのか。
これについて参考になる調査結果がある。東京大学大学院の前真之准教授は昨年の10月と11月、地域工務店の全国組織ジャパン・ビルダーズ・ネットワーク(JBN、青木宏之会長)が東京と大阪で会員工務店向け(一部非会員も参加)に実施したセミナー「快適・省エネ住宅に向けた施主と設計者のコラボレーション」の中で、自社の施工仕様や省エネの考え方に関するアンケート調査を行った。アンケートは東京が2014年10月22日、大阪が同11月27日に実施し、回答者は東京25人、大阪19人の全44人。
省エネ義務化のアンケート調査、「賛成」と「消極的・反対」の割合が拮抗
アンケートにおいて、断熱性能を実現するために採用している手法に関する設問の回答結果は、回答率が高い順に、56・8%(25人)「国の仕様規定」、18・2%(8人)「Q値計算」、15・9%(7人)「熱負荷計算シミュレーション」、6・8%(3人)「特に参照なし」――だった(未回答1人)。
また、2020年に予定されている省エネ基準義務化について、自らの考えと近い内容の選択肢を、提示された4つの選択肢から一つ選ぶ設問への回答は、全体の半数となる50・0%(22人)が「住宅の省エネルギー化は必須であり、性能の良い住宅の供給を広めていかなければならない」を選び、義務化に概ね賛成の意向を示した。
しかし、残る半数は、27・3%(12人)が「住宅の省エネルギー化は必要なことだと思うが、規制が厳しくなることで、コストアップや設計の自由度の減少などの困難を感じている」、20・5%(9人)が「住宅の省エネルギー化は必要なことだと思うが、規制を厳しくするべきではなく、これまで通り努力目標として達成可能な事業者が行うべき」、2・3%(1人)が「住宅の省エネルギー化の必要性はあまり感じておらず、規制を厳しくすることにも反対である」を選んだ。