
■住友林業グループの事業の方向性と今後について
次に、住友林業グループの事業の方向性と今後について少しお話をします。
我々住友林業グループは他の企業グループとは異なる、ユニークな経営資源を多く保有しています。山林から住宅に至るフローの中で幅広く展開しているビジネスモデル、環境共生時代を生き抜く技術やノウハウ、商品力、300年以上森を守ってきた DNA、信用を重んじて事業を続けてきたことで、積み重ねられた社会からの信頼、そして何よりも、それを支える勤勉で能力の高い社員です。
現在のような不透明な時代だからこそ、我々は、全員の英知を結集して困難を乗り越え、時代の新たな潮流を掴んで変革を起こし、チャンスを物にしていかねばなりません。
そういう想いをこめて4月より3か年の「中期経営計画2022」がスタートします。
この中期経営計画は時代の変化を先取りするイノベーティブな戦略の下に、当社の強みを活かす事業を未来志向で推進していく、そして強固な経営基盤を作るための人財戦略や財務戦略、ガバナンスの強化にも取り組むものです。
さらに1691年の創業から350周年を迎える2041年をターゲットに高さ350mの超高層の木造ビルを実現するという研究技術開発構想「W350計画」を起点に木の資産価値の向上にむけて研究開発も加速させていきます。過去の延長戦上で物事を考えるのではなく、変化していく未来に向け、皆さんを含めた社員全員で新しい付加価値や新しいビジネスモデルを作りあげたいと思います。
住生活に関わる事はもちろんの事、新たな発想でイノベーションを起こし、人々の暮らしの向上と社会の発展を支えていく事で、住友林業グループの事業領域は大きく広がっていきます。そして、これらの事業の根底に流れるものは我々のDNAである森や緑への思いです。
木材は、再生可能な天然資源であり、素材としての様々な可能性をもつ、未来社会を支える資源です。
私たちは、木の価値を知り、そしてその価値を活かしきるプロ集団として、しっかりと森林に関わっていく必要があります。
みなさんは「木と生きる幸福」というメッセージをご存知だと思います。このメッセージは、住友林業グループのみんなが目指す未来や思いを共有すると共に、働く喜びを感じること、そして多くの人たちに「木と生きる幸福」を共感して頂きたいという思いを込めています。
日々の挑戦を続けることで、住友林業グループは、みなさんが部長や役員になられる頃、すなわち2041年の創業350年までには、「W350計画」の実現だけでなく、森林の価値、資源の価値、緑の価値等、木に関わる全ての価値を機軸に企業活動を通じて人と社会、そして地球に貢献する、「世界に冠たる森林会社」になっていると私は確信しています。
また、昨今SDGsという考え方が企業活動において益々重要になっています。
SDGsはSustainable Development Goalsの略称で2015年の国連サミットで採択され、2030年に向けて世界が合意した持続可能な開発目標のことで、この考えはまさに住友の事業精神に繋がるものであり、我々の先輩たちがこれまでに実行してきたことです。
今後も持続可能な社会を作るために社会や人が持つ問題・課題の解決に事業を通して皆さんとともに取り組んでいきたいと思います。