中小企業庁の「中小企業省力化投資補助金(以下省力化投資補助金)」が25日に公募開始となることがわかりました。申請締切日は7月19日、採択・交付決定日は8月下旬頃予定であり、それ以降の公募スケジュールについては、2026年9月頃まで順次更新していくとのことです。
本補助金は汎用製品の導入費用を最大1500万円まで補助します。本補助金を活用して製品を拡販したい事業者にとっても魅力的ですが、汎用製品が補助金事務局の「カタログ」に登録されている必要があります。また、汎用製品を販売する事業者もベンダー登録が必要となります。前回(連載178回)は本補助金を申請する側の要件について紹介しましたが、今回はベンダー側の要件について解説します。
まず本補助金の概要についておさらいします。
中小企業省力化投資補助金とは、IoTやロボットなどの付加価値額向上や生産性向上に効果的な汎用製品を「製品カタログ」から選択・導入することで、中小企業等の付加価値や生産性の向上、さらには賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
対象者は「人手不足の状態にある中小企業等」であり、事業再構築補助金と異なり、中堅企業は対象となりません。補助上限額は従業員数で異なり、従業員数5名以下は200万円(300万円)、6~20は名500万円(750万円)、21名以上は1千万円(1500万円)となります(カッコ内は一定の賃上げをした場合)。補助率は1/2以下です。事業再構築補助金と違って「新規事業」は対象とならず、製品導入によってどの程度人材不足解消=省力化をできるか説明することが求められます。
本補助金の対象経費となるのは「カタログ」に掲載された製品のみです。登録された製品は公式HPで確認することができます 。「カタログ」に登録されるには「人材不足解消の効果がある」と事務局に認定される必要があります。
製品を登録するにはまず「製品」登録ではなく、「製品カテゴリ」登録が必要です。登録するのはその製品に関連する工業会となります。たとえば、ラベルを自動で貼り付けるオートラベラーは「日本包装機械工業会」が登録し、飲食店でよく見かける配膳ロボットは「日本ロボット工業会」が登録しています。ベンダー自身がメーカーではない限り、自力で「製品カタログ」登録を進めることはできません。
汎用製品の「製品カタログ」が終わっても、ベンダーはまだ販売はできません。次は「製造事業者」登録と「製品」登録が必要となります。登録を行うのはメーカーです。「製品事業者」はメーカー自身、「製品」はそのメーカーが製造している具体的な製品となります。登録を行うには「製品カタログ」登録を行った工業会に製品の審査依頼をして、工業会発行の証明書をもらう必要があります。たとえば、SOCIAL ROBOTICS株式会社の「BUDDY」という配膳ロボットは、「日本ロボット工業会」に審査依頼をして証明書を発行してもらったことで登録が可能になりました。一方、オートラベラーはまだ審査依頼が来ていないのか、もしくは審査に受かっていないのか、登録されている製品はまだありません(6月11日現在)。
上記諸々の登録が完了して、ようやくベンダー登録(「販売事業者登録」)が可能となります。ベンダー登録はオンライン上で行い、GビズIDプライムアカウントが必要です。登録するには「製造事業者」に確認書の発行依頼を行う必要があります。
「販売事業者」の登録が完了すると汎用製品の販売ができますが、「販売事業者」の業務は販売だけではありません。顧客の補助金申請のサポートを行う必要があります。補助金申請が採択されなければ、製品の販売はできません。厳密に言えば販売自体はできますが、補助金は下りません。また、補助金採択後も製品に係るサポート・アフターフォローを行わなければなりません。
登録される製品は続々と増えていくと想定されます。本補助金を活用して販売したい製品がある方、もしくは導入したい製品がかる方は、メーカーや工業会に「製品カテゴリ」や「製品」登録をするよう打診してみることをおすすめします。
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