2023年12月27日、「ものづくり補助金省力化(オーダーメイド)枠【17次締切分】」が公募開始しました(24年2月13日申請受付開始、3月1日申請締切)。物価高騰や人材不足等の課題に対応するための省力化に係る設備投資全般を支援します。
申請できるのは中小企業・小規模事業者の他に、特定事業者(資本金10億円以下かつ従業員数が業種ごとの指定人数以下)、従業員数300人以下の特定非営利活動法人・社会福祉法人となります。なお、「本補助金の応募締切日の10ヵ月以内に同じ補助金の交付決定を受けている」、「過去3年間に同じ補助金の交付決定を2回以上受けている」等の場合は対象外となります。
また、事業計画(3~5年間)の策定にあたり、以下3点の要件を満たす必要があります。すなわち、「事業計画期間において給与支給総額を年平均成長率1・5%以上させる」、「事業計画期間において事業場内最低賃金を地域別賃金より30円以上高い水準にする」、「事業計画期間において付加価値額(営業利益・人件費・減価償却費の合計)を年平均成長率3%以上増加させる」です。さらに「省力化枠」に限って、「事業計画期間において労働生産性を設備投資前より2倍以上にする」、「事業計画期間内に投資額を回収する」等の要件も満たす必要があります。これら要件を満たさなかった場合、補助金の返還を求められる場合があります。
補助額は従業員数で異なり、5人以下は100万円~750万円、6~20人は100万円~1500万円、21~50人は100万円~3千万円、51~99人は100万円~5千万円、100人以上は100万円~8千万円となります。また、補助率は補助額によって異なり、1500万円までは1/2、1500万円を超える部分は1/3となります。なお、小規模事業者・再生事業者(再建のために私的整理手続を行っている事業者)については、1500万円までは2/3、1500万円を超える部分は1/3となります。
さらに、大幅賃上げを行った場合、上限額が引上げられます。具体的な要件として、「給与支給総額を年平均成長率6%以上にする」、「事業場内最低賃金を地域別賃金より50円以上高く、かつ毎年50円増額する」を事業計画期間内で達成する必要があります。引上げ額も従業員数によって異なり、5人以下は250万円、6~20人は500万円、21~50人は1千万円、51~99人は1500万円、100人以上は2千万円となります。補助率については上記と同じです。
事業計画書では、人手不足の状況、及び設備投資によってどの程度生産プロセスが効率化されるかについて具体的に記載していく必要があります。また、他社との差別化、現在の市場規模、事業を行うことによって得られる優位性・収益性等、今までのものづくり補助金でも求められた記述も行わなければなりません。
加点項目は全18項目あり、最大6項目まで申請することができます。「経営革新計画・事業継続力計画の策定」等今までもあった項目の他に、育児と仕事の両立に関する「くるみん認定」、助成活躍に関する「えるぼし認定」と言った労務改善系の項目もあります。採択率を上げるためには、可能な限りこれら加点項目を押さえる必要があります。
審査については、書類審査の他に口頭審査も行われます。口頭審査については申請者自身が対応し、士業やコンサルタントの同席は認められていません。そのため、事業計画の内容をしっかり把握した上で、面談の練習もしておくことをおすすめします。
24年の「省力化枠」は17次・18次締切分を公募するとのことですが、どちらも事業実施期間は24年12月10日までとなります。つまり、17次締切分で申請して採択された方が、より余裕のあるスケジュールで事業を実施できることになります。そのため、「省力化枠」の申請を検討している方はなるべく17次締切分で申請するようにしましょう。また、その他の枠(製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠)については、18次締切分から公募予定です。どうしても自社の設備投資を省力化と結び付けられない場合は、こちらの申請を検討することをおすすめします。
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