注目の助成金(163)キャリアアップ助成金に新コース

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アルバイト等の非正規雇用労働者の待遇改善を支援する、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」ですが、10月より新たに「社会保険適用時処遇改善コース」が設けられました。収入が増加したことによって、社会保険に入る=社会保険料を支払う必要が発生した従業員に対して、保険料分の手当てを支給した場合、最大50万円の助成金を受給できます。今回はこの「社会保険適用時処遇改善コース」について、解説します。

社会保険適用時処遇改善コースには「手当等支給メニュー」と「労働時間延長メニュー」の2つのメニューがあります。手当等支給メニューは、対象労働者を社会保険に加入させる際、「社会保険適用促進手当」を労働者に支給し、社会保険料分の負担をカバーした場合に助成されます。社会保険適用促進手当とは、給与や賞与とは別に、対象労働者に係る保険料相当額を上限として支給されるものです。最大2年間は保険料の算定対象となる賃金から除外されます。この手当の規定がない場合は、事前に就業規則等に規定して労働局に届け出る必用があります。

手当等支給メニューの助成金は3年に渡って支給されます。1~2年目は賃金の15%以上の手当を労働者に支給した場合、6ヵ月ごとに10万円(大企業は7万5千円)が助成されます。3年目以降、賃金を18%以上増額して6ヵ月間支払った場合、10万円(大企業は7万5千円)が助成されます。つまり、3年目で最大50万円を受給できることになります。

労働時間延長メニューは、対象労働者を社会保険に加入させてから2ヵ月以内に週の所定労働時間を延長した場合、定額の助成金が支給されます。延長する所定労働時間に応じて賃金を増額させる必要があります。1~2時間未満であれば賃金の15%以上、2~3時間未満であれば10%以上、3~4時間未満であれば5%以上増額して、6カ月間支払った場合、30万円(大企業は22万5千円)が助成されます。

手当等支給メニューと労働時間延長メニューは併用することができますが、受給できる助成額は50万円までとなります。

対象となる労働者は短時間労働者で、かつ2023年10月以降に社会保険の被保険者になる方です。社会保険加入日の6ヵ月前から継続して雇用されており、かつ加入日から過去2年以内に同じ事業所で社会保険に加入していない必要があります。また、社会保険の被保険者になる要件は、厚生年金に加入する被保険者数によって変わります。被保険者数が常時101人以上の場合は「週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8万8千円以上、学生ではないこと」、100人以下の場合は「週の所定労働時間・月の所定労働日数が常時雇用の従業員の4分の3以上であること」と言う要件を満たす必要があります。

「社会保険適用時処遇改善コース」では、他のキャリアアップ助成金のコースと同じく、「キャリアアップ計画」を策定する必要となります。対象労働者に社会保険を適用させる1ヵ月以上前にキャリアアップ計画を策定し、労働局に届けましょう。社会保険を適用させた後、手当の支給や労働時間延長等の取組を開始して6ヵ月経つごとに、2ヵ月以内に助成金の支給申請を行います。1回の支給申請で10万円が助成され、最大5回目(50万円)まで支給申請を行えます。

「社会保険適用時処遇改善コース」は他のコースも併用可能です。賃金を引き上げる場合は「賃金規定等改定コース」、正社員化する場合は「正社員化コース」を活用できます。従業員の福利厚生やエンゲージメントの向上をしたい事業者の方は、キャリアアップ助成金の活用を検討してみましょう。

2023年10月31日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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