現在、国は子育て世帯や低所得世帯といった個人向けの給付金を実施している一方、以前実施された「持続化給付金」や「事業復活支援金」のような大多数の事業者向けの給付金はまだ実施していません。しかし、地方自治体レベルで見ると、物価高騰等の負担増に苦しむ事業者を支援するための給付金が数多く実施されています。
そこで今回はどのような事業者向け給付金が実施されているのか、いくつか事例を上げながら説明していきます。
◇ ◇
事業者向け給付金の中で非常に多いタイプは、電気料金、ガス料金、ガソリン料金等のエネルギー関連経費について支払った額に応じ、給付額を変えるタイプです。たとえば、千葉県いすみ市の「エネルギー価格高騰対策支援補助金」では、「2023年7~9月の電気料金・燃料費の合計額×100/115×0・15」が支給されます。なお、従業員数によって上限額は変わり、常時使用する従業員が6人以上であれば最大60万円、6人未満または個人事業主であれば最大30万円となります。
山形県の「中小企業特別高圧電力負担軽減事業費補助金」では、23年1月分~8月分=電気使用量1キロワット時あたり3・5円(23年1月~8月分)または1・8円(23年9月分)を乗じた額について、最大5千万円を給付します。
他にも、条件に合致した事業者に対して定額を給付する自治体もあります。たとえば、東京都の「中小企業特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業」では、特別高圧電力(契約電力2千キロワット以上、供給電圧2万ボルト)を直接受電する、または受電する施設にテナント入居する企業に対して、定額の給付金を支給しています。
直接受電していれば500万円、テナント入居していれば10万円が支給されます。工業用LPガスを使用している企業についても10万円が支給されます。
千葉県市原市の「中小企業等経営継続支援金」では、23年1~12月までの任意のひと月の売上が19年~22年同月比20%以上減少している企業に対して、定額の給付金を支給します。従業員数に応じて給付額は変わり、500人以上であれば500万円、雇用保険被保険者の従業員が1人もいなくても5万円が給付されます。
山梨県南部町では、22年1月1日以前からエネルギー等を利用している事業者であれば、法人10万円、個人事業者5万円を一律給付しています。
今後エネルギー価格や物価高騰が続くようであれば、上記のような自治体の給付金がさらに増えていくと想定されます。所在する自治体でどのような給付金が実施されているかホームページを見る等して確認してみましょう。また、国でも「事業復活支援金」と同様の制度を実施するかもしれません。中小企業庁・経済産業省等の官公庁のホームページも随時チェックしておきましょう。
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